サミー前田 ●心の窓に灯火を●

2004年05月03日(月) 高田渡と映画

 3日。吉祥寺駅前、北口ロータリーの小さな広場で行われた「吉祥寺音楽祭」に行って来ました。
 吉祥寺在住・佐野史郎のエレキ版ニール・ヤングを連想させるバンド演奏を聴いて、「冬彦さんでお馴染みの佐野史郎さん」とか言ってる武蔵野市長は何を想うのか?あまり何も想わないのかもしれないが。飛び入りゲストで、キセルの二人が登場し、佐野バンドとのセッションぽいかんじで、キセルの曲をやったのがまたよかった。
 トリはやっぱりこの人、高田渡。息子であり、いまや引っ張りダコの高田漣(スティールギター)、中川イサト(ギター)、佐久間順平(バイオリン)、BUN(ベース)というバッキング。月が浮かびはじめた夕暮れ時の野外、ビールを飲みながら聴く高田渡はサイケデリックでさえあり、高田渡宇宙の心地よさに酔いしれた。もちろんその歌宇宙はやきとり屋「いせや」へと繋り、いつの時代もリリカルであり、過激な説得力を持っている。 お役所主催のイベントにもかかわらず「年金なんか誰が払うかバカ野郎」と毒づくしゃべりも冴えていた。
 
 「タカダワタル的」というドキュメンタリー映画が作られたというので、それも映画館で観た。ライブのシーンが主であり、高田渡自体が特上の素材だから飽きることなく観たのだが、カメラワークや構成が、素人目に観ても下手なのが残念でならない。監督は二十代の女性だというが、もちろん性別や年令は関係なく、映画作品としては疑問を感じてしまった。あまり関係ない有名人が出てくるのもどうかと思うし、エンドロールのクレジットでライブ演奏の楽曲が「編曲:早川義夫」とあるのは、多分まちがいだと思うのだが・・・。
 想い入れとか知識があるないではなく、俺ならもっとおもしろいドキュメントを考えられるぞ。
 まあー、それでもこの映画、観客動員がいいみたいで、上映期間が延長されたりしている。これをきっかけに高田渡が大ブレイクしたら、少しは良い世の中になるだろう。

 以前もどこかで書いたのだが、「資料日本ポピュラー史研究/初期フォークレーベル編」(黒沢進著)に掲載された「86年の大瀧詠一インタビュー」で「高田渡こそが一番オリジナリティーにあふれていた。詩も曲も歌もワンアンドオンリーで、独創的」といった発言は大変興味深いものである。大瀧プロデュースでアルバム作るなんてイイネ。


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サミー前田 [MAIL]

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