2005年09月28日(水)  ラングとムルナウ(4)


別に文句をいうわけじゃないんですが、最近は自宅でやる仕事がちょこちょこ増えてきて、まとまった時間がとれません。
ラングとムルナウの感想も、一気に書き上げようとおもっていたのですが、なんか、ぽつぽつと小出しになってしまいました。
いけるんでしょうか最後まで?
ラングばかり書いて、まだムルナウ1本も書いてないんですよ。

それじゃなくっても、あれから何本か映画観てるんですが、感想まともに書けない感じです。

・・・あ゛! でもこれだけは書いておきたい!

『チャーリーとチョコレート工場』2回観ました!!!
ものすごくおもしろいです、これ。というのも、最近目まぐるしい生活してるので、ちょうどいい気晴らしにものすごおく楽しく観られました。
2回が2回とも、同じテンションで見られたというのは幸運と言って良いでしょう。ティム・バートンの映画とは、相性が合うんですね、わたし。
冒頭の、チョコレートの製造シーンからしてわくわくドキドキです。



さて、ラングとムルナウの続きです。

ここでちょっと観客のことを。

想像通りというか、ある意味想像以上だったんですけど、かなり年齢層高かったです。エレベーターの乗り方も知らないようなおじいちゃんおばあちゃんがたくさん来てました。というのは嘘ですが・・(言い過ぎだぞ、をい)、いや、でもこんなに高年齢の人たちが集まっていると、ゲートボール会場が近くにあるんじゃないの?とおもったほどです。

でもそれに混じって、わたしのような、どこにでも顔を出すシネフィルの輩と共に、明らかに20代だろうと思われる若者もちらほら来ていました。
いいですね、若い人がこういう映画を観に来るというのは。そう言えば、最近、新しく映画学校ができたみたいで。どういう学校でどこにあるのか、具体的なことは何も知らないんですけど、若い人が来ていたということはそれにも関係するのでしょうか。例えば、京橋にあるフィルムセンターには、そばにある「映画美学校」の生徒がよく来るという風に。

それと、これは年齢とは関係ないとはおもいますが、上映中ぐっすりお休みになっていた人の多かったこと(笑)!
まあ、わたしも人のこと言えた義理じゃないんですが。多少なりとも「寝た」箇所があるので。でも大半はちゃんと見てましたよ。でも中には、枕抱えてきたんじゃないか〜とおもわれるような寝方をしている方も多数いたようで。かなり耳障りとおもわれるいびきがあちこちから、まるでポリフォニーのように聞こえてきたときもありました。

不思議なことに、サイレントというのは「慣れ」というのがあって、音による解釈がないから、よけいに、映像を見て台詞や話の展開を想像しながら観賞するんですけど、本数を見ていくうちにだんだんとそれに慣れてくるんですね。
だから最初はわけわからなくて眠くなっても、3本目4本目には分かるようになるものだから、よけいにおもしろいというか。うまく言えないんですが、最後の方になると、理解力に増して光と闇のコントラストが眩くて、映画の原点に立ち返ったような気になるのです。

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2005年09月24日(土)  ラングとムルナウ(3)


ラングついでに書いてしまいますが、今回の締めは『メトロポリス』でした。
この作品は有名なので観ている人も多いと思いますが、今回映画祭で上映されたのは「サイレント版」と「サウンド版」で、わたしが観たのはサウンド版の方でした。
でもサウンド版といっても、あの色つきの、ジョルジオ・モロダーが音をつけたやつではなくてですね、じゃあどれだ?と聞かれても、まだカタログ読んでないんで説明できないんですが(おい)、オーケストラでした音楽は。このバージョンが日本で公開されるのは今回が初めてだそうです・・て、ホントかっておもうのですが、そんなこと言ってたような気がします会場で。(しっかりせい)

最初はこの映画、ビデオなんかで何度も見ているので今さらメトロポリスどうしよう〜とおもっていたのですが、観て正解でした。やっぱりおもしろいです。特に冒頭の機械室のシーンは圧巻。今回見て改めて気がついたんですが、このシーンはいろんな映画で引用されているんですね。ピンク・フロイドのザ・ウォールにもこんな場面なかったでしたっけ。

そして人造人間&マリア役をやった女の人の仕草や驚き方がいかにもサイレント的というか、めずらしく大袈裟なのでちょっと笑ってしまう部分もあるんですが、こういう演技を見るのもサイレントの醍醐味のような気がします。見ようによってはちょっと危ないんですがね、実際にいたらこんな人が。でもあの腰や体の柔らかさはたまりません。ヨシワラでの踊りは相変わらず変ですけど。

またこれは音楽もとても良く、シンセ使って近未来を強調したジョルジオ・モロダー版メトロポリスとは違って、オーケストラの音楽は古典的ですがでも時代性がぴったり合っていて良かったです。サイレントは下手なピアノ伴奏つけるより、オーケストラの音楽もいいのではないでしょうか。

ピアノ伴奏で思い出しましたが、今回わたしが観たのは『スピオーネ』を除いてすべてピアノ演奏なしの無声版でした。というのも、わたしはピアノ演奏というのがとても苦手で、演奏によって感情を繰られるような気がしていやなのです。これは泣くシーン、これは驚くシーン、これは恐いシーン。サイレントは音がなくても感情が伝わります。そういう風にできている映画なのです。

「いい映画は、音を消して観ていても話の展開がわかる」
昔ハービー・カイテルがアクターズ・スタジオでこんなこと言っていたのを思い出しました。

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カムフラージュしているのでよくわからないかもしれないけど(笑)
屋根の下に猫さんがいます
この日は朝からしとしと雨が降っていて、風もあったのだけど
猫さんは風の来る方向を家の壁にもってきて、
雨が直接当たらないよう雨やどりしていました
今さらながらですが、猫さんたちのサバイバルテクに感嘆してしまいます
これを見て、風の方向がわかってしまうわたしも猫ですが
猫をもっと見る


2005年09月21日(水)  ラングとムルナウ(2)


今回一番おもしろかったのは、フリッツ・ラングの『月世界の女』でした。
この映画はもう、何と言っていいか、ある意味ラングらしい奇天烈なユーモアと、社会派的要素、SF的展開が炸裂した作品でした。
サイレントでありながらも、あたかも画面から声が聞こえてくるような大袈裟な演技。映画というものは、言葉がわからなくても理解できるものなのですよ、本来は。

また、最初の展開からあんなラストになるなどど、いったい誰が想像できよう。ロケットの発射シーンや月面は(月に行くんですよ)見るも明らかなセットにもかかわらず、その手間をかけたキッチュな作りに、観ているあいだ笑いがとまらないほどおもしろかったです。
168分という長さもさることながら、最初から最後までテンションがまったく下がらず観終わったあとどっと疲れたけど、帰り道はウキウキ。ラングの世界では、月では宇宙服なしに呼吸ができるんですよ。これがおもしろくなくて何だ。

フリッツ・ラングの映画は、この『月世界の女』と『ドクトル・マブゼ』『ニーベルンゲン』『メトロポリス』『スピオーネ』を観ましたが、どれもこれも力の入った力作で見応えありました。
ただ『ドクトル・マブゼ』だけは、後半の第二部は観ずに帰ってきてしまいましたが。というのも、ちょっと役者陣がまったりしていて個性がなく、さらに話の展開もキレがないのでサイレントで観るのはつらかったです。
先の『月世界の女』のあとに観たから余計そうおもうのかもしれませんが、カタログであらすじを読む限りでは後半部分の方がおもしろそうだったんですけど・・。まあまた今度観る機会があったらということで。


ぜんぜん話は変わりますが、最近たまにネットに繋がらないときがあって、プロバイダに電話したりBフレッツのサポートに電話したりしてたんですが、どうやら問題はこっちにあったみたいです。
昨日また突然繋がらなくなったので、もしや?とおもい、LANを組んでいるルータを外して直接NTTの装置にケーブルを差し込んだところ、あっさり繋がったじゃありませんか。いやん、ルータのせいだったのね。

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2005年09月20日(火)  ラングとムルナウ(1)


至福の時を過ごしてきました。
今この時に、サイレントを大画面で観られるなんて。
それもフリッツ・ラングですよムルナウですよ。
こんなの逃しちゃなりません。

チケット発売と同時に全作品が観られるパスポートを買い込み、もう心は準備万端。いざ有楽町へ!・・・と映画祭はじまるまでは良かったんですが、こういう時に限ってハプニングがっ。仕事です。いや定期の仕事の方はお休みもらってたんでだいじょうぶだったんですけど、思いがけないところから思わぬ仕事が。いやそれもとても楽しそうな仕事だったんでつい受けちゃいました(^^ゞ 自業自得ですね。

今だから笑って話せますが、いやはや大変な1週間でした。
昼間は映画、夜はゴハンもそこそこに仕事〜夜中まで〜もしかして朝も?という生活でした。
結局、映画祭中盤からは寝た記憶がありません。床につくとすぐ朝になっちゃうんです。感覚的には15分ぐらい寝たって感じでしょうか。眠りの充足感なかったです。こんな状態では映画観ながら寝ちゃうんじゃないか?とおもったんですが、意外にも、目はパキパキ頭はシャキッと冴えてました。さすがです、わたし。やっぱり映画祭って好きです。

最終的に観た作品はラング5作品(内1作品は後半から放棄)
ムルナウは4作品。全部で9作品。
13作品全作品制覇は夢と散りましたが(金も散ったな)、これを機に、またどこかでリバイバル上映して欲しいです。特に今回見逃したラングの『ハラキリ』。これはちょっと悔しいです。ハラキリって、あの腹切りですよ。日本が題材の映画らしいんですが、この時代に(1919年)日本を描いた作品ってぜったいおもしろいとおもうんです。おおよそ日本人らしくない日本人を、きっと青い目のドイツ人が演じるんだろうし(白黒でよかった)、着物の着方とか演出とか、装飾に至ってはもう、笑いのツボ満載なんじゃないかって。そう思うとよけいに観られなかったのが残念というか、すげー悔しいです。
そういえば『スピオーネ』にもハラキリシーンが出てきました。
当時は、日本を特徴づける手段に“ハラキリ”しかなかったというのがある意味愉快です。

感想は、サイレントなので、作品ごとというより全体的にまとめてさっくりこちらに書いていきます。いっしょに写真もとおもったんですが、今回上映された作品はどれもこれもコピー禁止のマークがついてるので載せられません。まあカタログからスキャンしちゃえばできそうな気もするんですが、実は映画祭終わってもまだカタログ開いてないんですよ。時間なくて。いつ読めるんでしょうかね、これ。

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