■ 2008年01月14日(月) 眠れる美女
渋谷ユーロスペースにて。

原作川端康成。ドイツ映画。
フランスで映画化された「薬指の標本」には
たいして食指が動かなかったくせに、
これは公式サイトも見ないうちから絶対観にいこうと決める。

期待を裏切らない作品。
とても丁寧につくられていると思った。
流れる音楽とかその使い方とか夜の闇の感じとか。
全体的にはドイツ映画としてアレンジされているけれど、
重厚な調度品に混ざって和のテイストが出てくるあたり
原作もちゃんと意識しているんだろうと思う。
エドモンドの苦しみをひたすら客観的に描いているせいか、
映像のわりに陰鬱な雰囲気が少ないのも私好み。
逆に日本人がつくると原作に吞まれてしまうような気がする。
それでもベースには川端康成版「眠れる美女」が残っていて、
面白かった、というよりも
もう一度原作を読みなおしたいと思わせてくれる、
R指定なんて感じさせないきれいな映画だった。
監督は「4分間のピアニスト」に出演のヴァディム・グロヴナ。

文豪と呼ばれる作家のなかでも私が好きなのは川端康成で、
それはきっと10代の頃に家族で毎年泊まりにいっていた旅館が
「雪国」執筆の温泉宿だったことにも関係しているんだと思う。
最初に読んだのはもちろん「雪国」。
大学時代に「片腕」を読みたくて買ったのが「眠れる美女」だった。

ユーロスペースでは今月末から「夕映え少女」も上映予定。
観にいこうかなあ。


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Arranged + Written by カノン
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