即興詩置き場。

2007年09月15日(土) 美しかった国



美しかった国


ラブ&ピースという呪いが生まれたのは
それからしばらくしてのこと
僕たち、と言ってさしつかえないのなら
僕たちは
やはり
気づいていなかったのだろう
それが呪いであることに
ではなく
世界に
呪いというものがあることに

僕たちは旅と呼ばれるもので
人生を堪能していた
果てはないと思ったし
実際に果てはなかった
湾曲する世界の中に
果てなど存在しない
その歪みの中で生きている限り

世界と闇は
構造がとてもよく似ていて
たとえば
そこに含まれる限りそれを認知できない
僕たちのすべてはいつも
成分としてそこにあり
分かたれてようやく
その事実を知る
僕たちが世界であり闇であることは
僕たちが別れを告げられたときに初めてわかるのだ
それを責めてはならない
石に躓くように
現象としてそれはそこに在るのだから

冷えたビールももうすぐなくなる
すべては過去に起こった出来事
これから起こることさえ
すべて予見され
当てはめられ
名付けられている
呪いを解く方法はひとつ
別の呪いにかかることだ
そのために僕たちは
何かを失っていくのだ
少しずつ
あるいは
ひとつずつ
せめぎ合うように
砕かれながら


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