即興詩置き場。

2005年11月28日(月) そして君たちはろうりん



見慣れない肌の子供が立っていて
おまえは苦しんで死ぬと囁くものだから
そんなもの
首を絞めたっていいじゃないか
結局のところ
君たちは知らないんだ
君たちは知らずに転げる
転げている、ろうりんぐろうりん
転げている
君たちは生きている

口を開くと汚物が溢れる
そんな生き物がいて
閉ざすともっと溢れることを知らない
ろうりん、ぐろう、あっぷ、
成長の端々で口の無い生き物が罪を産む
ひそやかに溶ける雪に付けた足跡のように
それは固有名詞になりきれないでいる
ろうりん、ぐろう、だうん、
うつむくな
けれどもうつむくな
それは君たちの知らない呪いになる

君たちは知らない
君たちは汚物ではない
君たちは囁かれない
君たちは苦しまない
君たちは首を絞めない
君たちは決して死なない
ろうりんぐろうりん、
うつむくな
君たちは生きている
君たちは苦しんで死なない
だからうつむくなろうりん



2005年11月22日(火) 二人きりの夜におまえだけが光っている


女に刺されて死にたい
刺した女を愛したい
俺はおまえのものだと
女の耳に囁きたい

刺されながら女に詫びたい
すまなかったと
抱きしめたい
体温の凍てつくまで
女の肌に触れていたい

俺を殺すのは罪ではない
おまえは赦されている
だから存分に殺せ
女よ
刺せ
刺してくれ
おまえの中で死なせてくれ

女に刺されて死にたい
女に刺されて死にたい
女に刺されて死にたい
女よ
おまえは赦されている
おまえだけが光っている




2005年11月16日(水) 墜落



信じるものは
必ず裏切る
その
摂理を許しながら
壊れたものは
壊れたまま流される

暗闇が
暗闇のまま発光するように
欠けたものは
その空虚を慈しむ
欠落は甘い
それを知るものなら
なおさら甘い

発熱する朝に
鳥が墜ちて
甘い屍を貪る
魂は死んだ
魂はすでに壊れて
流された痕跡が
生きている




2005年11月13日(日) 優しい機械



知っているのですか
あなたと
わたしが
手を合わせる
その意味を

つなぐ、と
つながれる、の
隔たりをあなたは
まるで何も
知らないかのように

この寂しさを
知ってください
あなたの
空いた片手が
どこにあるのか
わたしは知らない

その優しさは
機械のように
約束されていて



2005年11月09日(水) 僕たちはいつも独りで



僕たちはいつも独りで


死ぬときはひとりでいたい
本当にひとりで
見守るものもなく
見捨てるものもなく
星が
星の瞬きが
気づかれないうちに黒く
黒く輝くように

かなしいとか
なみだとか
そんなものはいらない
そんなものはない
まして
持っていけるものなど
どこにあると言うのか

星が
星ではなく君が
君の
輝きが黒く
黒く染まるなら
手を繋いだりしない
顔を拭いたりもしない
僕たちは独りだったねと
どこかでつぶやいているよ
僕たちは独りだったねと
風が
風が夜空を
さらっていくまで




 < 過去  INDEX  未来 >


いとう [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加