即興詩置き場。

2003年07月23日(水) 36.きょうだい(変換可)



きょうだい(変換可)



<兄弟(姉妹)>

変換すると姉妹も出てくる。「しまい」を変換しても兄弟は出ない。「兄弟」はきょうだいでしかなく、「姉妹」はきょうだいでありしまいである。言葉を当てはめられることは概念の区別と直結していて、そこには社会的ニュアンスの推移が含まれていることが多い。

概念が言葉の鋳型となる
生きていると思う
生かされているのかもしれない



<強大>

強くて大きいこと。基本的に敵対する(したい)ものに向けて発せられる言葉なのでほとんどの人が自分を強大だとは思いたくない。誰だって敵対されるのはイヤだ。敵対するのが好きな人はいるが。かわいそうなポチ。ポチは敵対される。牙を剥く。かわいそうだ。みんな。

強くて大きくても
痛いものは痛い
泣いたっていい



<京大>

京大に入りたかったが「浪人すれば確実に入れる」と言われてやめた。勉強は嫌いだったあの頃と意味ありげにつぶやいてみる。(今も嫌い)

思い出になり損ねた場所
ごめんなさい
あなたが嫌いなわけじゃない



<鏡台>

古い三面鏡台があって、母の化粧品が並んでいた。少し覚えている。母の顔はあまり覚えていない。

大丈夫
忘れたことよりも
覚えたことのほうが多い

(むしろ忘れたいことのほうが多い)



<今日die>

今日死ぬことではない。つまらない駄洒落に過ぎない。死ぬことがつまらない駄洒落なら世界はもっと幸福だと思う。生きることがつまらない駄洒落になっている。

ここにはね
何もないよ
ボク以外は

では誰に向かってしゃべっている?
投壜通信じゃあるまいし(自嘲)







2003年07月18日(金) 35.髪の長い女



髪の長い女


「何これ」とベッドから妻が起きてくる
「知らない」
本当に知らない
私も妻も短髪で
まったく身に覚えがない

妻はその髪の毛をじっと見つめている
何も言わないその姿を
私はじっと見つめるが
妻は私を見つめない

そういえば
髪の長い女が夢に出てきたことを思い出す
その話を妻にしようかどうか迷う
妻はまだじっと見つめている





2003年07月07日(月) 34.手を繋ぐ



手を繋ぐ


手を繋ぐと
その人の冷たさが
少しだけわかるのは
私の冷たさかもしれない

手を繋ぐと
私の冷たさが
少しだけわかって
その人に伝わるのかもしれない

冷たさが伝わりあって
初めて「私たち」が生まれ
私たちは私たちとして
手を繋ぐ
手を繋ぐ私たち
その人も、私も、消えてなくなる。





2003年07月01日(火) 33.白鷺



白鷺


京都で白鷺を見た
高瀬川と鴨川にいた
高瀬川は 浅かった 少し暗かった
鴨川は 大きかった 広かった
カップルが土手を自転車で二人乗りしてた

白鷺はもちろん白くて
(本当は少しピンク色が入っていて)
そしてとても細かった 足なんか折れそうだった
折れそうな足で普通に歩いてた
水辺の
通り過ぎる人たちの
緩やかな 流れ
そんなものとは関係ない
緩やかな 場所で




 < 過去  INDEX  未来 >


いとう [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加