仕事が終わった。 忙しくて、クタクタだったけど、誰もいない部屋でひとりでご飯を食べるのがちょっとヤだった。
だから、仕事場から最近よく遊んでいる大学生の男の子に電話をかけて、夕飯を一緒に採る事にした。遊んでいるといっても、カラオケに行ったりご飯を食べたりする程度だけど。
彼の大学の正門前のアメリカンバーみたいな所。 大学生に混ざって、夕飯を食べる機会なんて滅多にない。 安くてボリュームはあるけど。お味はそこそこ。
どうしよっかな、今からカラオケにでも行くかな。
そんなことを考えていた。
ふと携帯を見ると着信。 ディスプレイにはmasayaの名前。
慌てて電話をとる。
どーも。いかがお過ごしですか?
今、ご飯食べてます。
はあ。そかぁ。 いや、ぢつはさ、名古屋まで来たので、ついでに足のばそうかどうかと。お伺いを立ててみたんだよ。
ほんとぉ?延ばしてくださひ。
じゃぁ。行くです。
今から、新幹線乗るんでしょ?
車です。
まぢ?
1時間半くらいで着くと思われ。
そんなやりとりをした。 1時間半?ヤだ。どうしよ。部屋片付けないと!
大学生の彼には申し訳ないけど、帰る事にした。 だって、洗濯物も片付けて掃除もしたいし。
大慌てで家に帰って、片付けて、掃除をして、ついでに洗濯機も回した。 そんな事をしてると、すぐに1時間半が経つ。 ベランダで洗濯物を干していると、走って来るmasayaの車が見えた。 でも、通り過ぎてしまう。
あれ?何してんだろ。
しばらく待ってみても、階段を上がる靴音がしない。おかしいなぁと思って携帯を見ると、着信2件と1通のメール。
「着きました。どうしたらいいでしょう?」
入って来たらいいのに。 慌てて電話をかけて、あがってきてくださいと伝える。 玄関で、いつものように、普通の挨拶。
こんばんわー。
こんばんわー。
はい、これ。~*Yuuちゃんにお土産。
なぁに?
いやぁ、パッケージで思わず買ってしまったよ。 伊勢エビじゃないよ。伊勢エビ風味だよ。
あい。ありがとう。
それと、はい。
あ。女峰イチゴだぁ。
時代はもうリンゴじゃなくてイチゴだよ。
ほんと、変なやりとり。 お土産の「伊勢エビ風味ラーメン」と「女峰イチゴサワー」をあたしは彼から受け取った。そっか、このサワーを買いに行ってたのね。
「お風呂に入りますか?」
「あい。」
いつもの事です。
明日は朝から仕事に行かなければならない。 こんな時に休めないなんて。 でも、来てくれた事が嬉しい。
抱き合うと暖かい。 彼はあたしに極上の快感を与えてくれる。 泣きそうになる。
抱き合って眠るとほんのりとシアワセだ。
朝、8時半にあたしは家を出なければならない。 目覚めて、慌ただしく用意をして、あたしは制服を着て、masayaは帰る支度をして…。
彼の銀色の車を見送って、あたしも車に乗り込む。 ちょっと泣きそうだった。
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