月の輪通信 日々の想い
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2009年08月23日(日) 誠実

明け方、肌寒さで目が覚めた。
暑い暑いと、うだうだしていたら、突然に秋の気配。
今日は地蔵盆。
明日からは中高生達が例年より一足早い新学期。
駆け足で夏が終わる。



ゲン、剣道の稽古。
受験生であるにもかかわらず、ほとんど休みなくフルバージョンの稽古に出席するゲン。
最近ゲンの通う道場には中高生がたった二人。
そのほかは幼稚園児や小学校低学年の幼い初心者剣士が大勢増えた。
前半の子ども稽古では、ちょろちょろ走り回る幼い後輩達に素振りや足運びを教え、長身の腰をかがめて太刀筋のまだまだ定まらない面を何度も何度も辛抱強く受けてやる。
後半の大人稽古では、錚々たる高段者の先生方に次から次へと稽古を挑み、打たれ、倒され、立ち上がる。稽古の汗で、さんざん洗い晒して色褪せた剣道着の背中が濃い藍に染まる。
稽古が終ると、稽古をつけて下さった先生方にたくさんたくさん頭を下げ、いちいち小さく頷きながらその日の稽古の寸評を聴く。

背筋をしゃんと伸ばし、軽く握った拳を膝に置き、型どおりの正座の姿勢で、まっすぐに先生の顔を見上げる若い眼差しに、なぜだかいつも「誠実」という古風な言葉が思い浮かぶ。



帰り際、馴染みの先生がゲンのいないところで私に、
「今日は思いがけず、ゲンに2本も取られたよ。」
と笑いながら教えて下さった。
最近、ゲンは「いつも偉い先生たちばかりが相手で、同年輩の子と稽古することがないから、自分が本当に強くなっているのかどうか、ちっともわからない」と迷う言葉をこぼすことも多かった。
そのことを先生に告げると、
「アイツは今、確実に伸びてる。
でも、そのことに本人はちっとも気付いていない。だから、良いのだ。」
というような意味のことを言われた。

それが「誠実」ということか。






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