Food for Thought
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2005年09月18日(日) 自分の脳にだまされる

人はごくわずかな事例から、たくさんの結論を得ようとする傾向があるのだという。大量のデータを比較検討するより、一を聞いて百を知ったと思い込んだ方が楽ちんだ。これを認知的な節約というらしい。(9月18日付日経 中外時評)例えば、たった二、三例でもがんが治ったときけば信じてしまう。地震の前に犬やカラスが騒いだと予兆を捕らえたかのように言う…だから簡単にだまされる。

「認知的節約」について検索したらこんなページを発見。要するに「したたかな脳」の特性らしい。

そういえばMalcom Gladwell著の"Blink"も一から百を知る話であった。同じ著者による"The Tipping Point"と共にとても面白く読めた。


2005年09月11日(日) わかりやすいことはいいことか?

日経の「半歩遅れの読書術」にドイツ文学者の池内紀氏が『ナチ・ドイツと言語』を紹介していた。
ヒトラーの政治宣伝の基本原理は「論点を黒白図式で《単純化》して示すこと、それを《くり返し》訴えつづけること、断固とした口調で大胆に《断定化》すること…」であったと。
今日は総選挙の日…と小泉首相の発言のこういった傾向を懸念しているようだ。

ブッシュ大統領の "With us or with the terrorists!"の二者択一がまさにこれだろう。アメリカ人は結構こういうのが好きかも。

そういえば、藤沢晃治著『「分かりやすい説明」の技術』のあとがきにこんなことが書いてあった。「分かりやすい授業とは、本当によいことなのか?」との問題提起をある大学教授から受けた。なるほど、学生にとっては自分で考える力を奪う「過剰に分りやすく、親切すぎる授業は問題」であり、「分かりやすい説明」は絶対善ではないと感心したと。


駿馬 |MAIL

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