元マネが婦人物の白のニット帽を買っていった。
季節から言ったら、全くの季節はずれなその商品に、一瞬、首をかしげたあたしだったが、すぐに思い当たることがあったため、
「どうしたんですか?」
と言う言葉を飲み込んだ。
奥様へ買って行くのだ。
抗がん剤の治療の副作用が相当きついのだ。
たった一度の点滴で、食事も受け付けず、触れただけで髪がごっそりと抜け落ちた、と言っていたのを思い出した。
本部の偉い人たちにも名が通るほどの実績のある元マネは、奥様の病気でマネージャー職を下り、今にいたる。
奥様の入院中は、一人息子のために弁当を作ったり、仕事を休んで介護に当たった。
術後、体調の回復を待って、韓国へ旅行に行ったり、奥様の喜ぶことを考えては世話をする。
生活の中心は奥様がいかに毎日楽しく快適に暮らせるかに据えられている。
真っ白で、リボンのついた可愛らしいニット帽。
臆面もなく、それを買って帰る元マネの心中を考えると、何も言えなくなった。
あたしのマイは非通知です。
あとほんの数ページを読めば終わる本を、もうかれこれ1週間は手元に置いている。
読もうとし、1行読んでは数ページ戻り、行きつ戻りつ戻りっぱなしになって、全然読み進めない。
娘は、と言えば、最近ものすごい勢いで本を読んでいる。
1日に文庫本1冊は読破。
一体どうしたんだ。
帰りに迎えに来てくれるときも、私服でちょっとかかとのあるサンダルなんて履いて来ようもんなら、一瞬どこの人ですか?状態。
あたしがぺたんこ靴履くと、既に背が抜かされてます。
きっと今が心身ともに成長著しい時期なのでしょう。
このままではどんどん置いていかれてしまう。
同性として感じる、ちょっとした妬ましさを、焦燥感とともに、感じる今日この頃です。
【追記】
完全に月記です。(笑)
今日もmixiからそのまま持ってきちゃいました。すみません。
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