2006年05月17日(水) |
フライブルクの部屋2 |
1:Sonja(学生寮”ワンルームアパート”風)
2:Doro(ルームシェア。トイレのみ共同)
3:フランス人大家さん。外国人専用のルームシェア。
4:下宿。玄関は別。
という4つの可能性があったということを前の日記で書きました。家賃は
1:309€
2:320
3:300
4:310
ほとんど差がなし。なので考慮に入れず。
1の寮の部屋。大規模な学生寮。部屋の中に必要なものは全てあり、非の打ち所がないアパート。自分だけの空間を持てる。もし選択肢がここだけだったとしたら迷うことなくその場で即決していた。日当たりもいいし、練習棟もあるっていうし、エレベーターはあるし。
Sonjaは聡明という言葉がぴったりな女の子で、綺麗好き、と自分で言っていたし、携帯メールの返事なんかもすぐに返してきて、かなりちゃんとしてる感じの子。
又借り人を探す理由は、半年間のPraktikum(研修)。私の求める期間とぴったり一致している。
次に2へ向かう。Doroは、まず電話しても出ない。ので、歩いてゆっくり向かうことにした。川辺の芝の上でゆったり読書している人を見ながら川を渡り、目的地の通りに入った瞬間、通りの美しさに見とれた。緑の一番美しい季節だという演出付き。通りの名を見つけた瞬間に目に入った光景が素晴らしかった。
それにしてももう家の前にいるのに、電話に出ない(=家にいない)ドロ。
偶然建物から出てきたカップルに話しかけたら
「あ〜ドロはいっちばん上に住んでるよ。いっっちばん上。入って待ったら?」
と言われたのでとりあえず入った。Altbau(古い建物)で、エレベーターはなく、階段を上って最上階の踊り場に出る。全く日の当たらない真っ暗な踊り場は洗濯物などでかなり散らかっており、部屋だかトイレだか分からないが扉がたくさんあり、この中の一つか、と思い、試しに再び電話をしてみる。音のするほうへと耳を澄ますと、正面にある細い階段の上からだと分かり、ああこの上にも部屋があるんだと分かる。そうこうしてるうちに(Gott sei Dank!)、ドロらしき人が階段を上ってくるのが見えた。
ドロの屋根裏部屋は、細長く、でもかなり広く、かなり片付いてなく、、でも彼女がここで楽しく住んでいるのがすぐ分かった。
水周り(キッチンとシャワーとトイレ)にくるのにいちいち階段を上り下りするという点は、全てコンパクトにまとまっているSonjaの部屋と比べてちょっと億劫な時もあるかなと(シャワーを浴びた後、裸でうろうろできない、とか)、始終二人で何かしゃべりながらも、うっすらそんなことを考えていたら、ドロが部屋の扉の前にあるはしごを上り始め、来て、と言う。なんと!屋上があった!屋上テラス!
そこからの眺めは・・・・緑の美しい季節という演出つきで・・・。
フライブルク在住の人に聞くと、この地域はWiehreと言って、人気の地域らしい。どうりで。
一晩真剣に考えたけど、Doroの部屋に決めた。
Doro自身は良くも悪くもちょっと緩いところがあり、ちょっと心配だが。片付けるから、と何度も言ってたけど、ま、話半分にきいとこ、って感じ。ちなみに彼女はこの冬学期はフランス南部のほとんどスペインの国境に近いところで交換留学生するのだと。すごく楽しみだと。そりゃそうだ。
9月から半年間のフライブルク生活。自転車通勤、歩いてすぐの川、そして屋上のテラス、、気持ちが良い毎日になりそうだ。冬が来なければもっといいのに・・・。
毎日のようにオペラ座に通っている最近であります・・・
ワーグナー『パージファル』の公演
スメタナ『売られた花嫁』の練習
ポンキエリ(誰?)『ジョコンダ』の練習
これらが日替わりメニューのように周ってます。
耳の中のOhrwurmたちも飽和状態。
そんな中、先週土曜、午前中の練習後にフライブルクにちょこっといってきました。9月から住む部屋探しのためにね。
インターネットで連絡を取りつけた4つの部屋を簡単に説明すると、
1:学生のSonjaの部屋
2:学生のDoroの部屋
3:外国人だけのために部屋を短期で貸すフランス人女性が大家の部屋
4:下宿(一戸建ての間借り)。
1は、大規模な学生寮で、練習棟もあり(有料)。キッチン、バストイレは全て部屋の中にあり、いわゆるワンルームアパート。
・・・とここまで書いたら、マライケが訪ねて来てなんかいろいろ横で怒涛のようにしゃべってるので今日はここまで。続きはまた。
これから午後はアルテオーパーの小ホールで何かの会合のBGMの仕事。カルテットで。
BGM弾いてきた・・疲れた。
BGMにもいろいろあるけど、今日のは『生演奏を聴きながらのお食事』という、コンサートに程近いもの。コンサートには程遠いということもしょっちゅうあり、そういうときは(以前もここに書いたが)皆途中から壊れてふざけまくって終わるのだが、今日はとてもそういう雰囲気じゃなかったんで、1時間ぶっ通しで集中してたので、くたびれた。
もう結構前のことになるんだけど、
Bachchor Mainz(マインツ合唱団)との本番がありました。古楽器の小編成オケでモーツァルトを2曲。
本番はマインツの教会でのミサと、数日後にBad Kreuznachという小さい町の大きい教会での本番。ミサの方はコンマスが車の故障でブッチ!(高速道路上でADACが来るまで2時間半待ったらしい)ミサ直前の練習で指揮者に「コンマス今日こないかも」と耳うちされ、私ともう一人、セカンドを弾く予定だった一人にファーストを弾かせ(初見で)、なんとか乗り切ったけど怖かったっす。
後で知ったのだけど、そのコンマスの本当の姿はHR−Sinfonie(フランクフルト放送響)のコンマス。遠くからしか見たことなかったから隣で弾いてても気付かなかった私。けっこう裏でこっそりバロックやってるオケマンってたくさんいるんだよね、と改めて思ったのでした。
Bad Kreuznachの方は、なんでもこれはコンサートじゃなくて、大銀行の大ボス(マインツ合唱団の財団の個人出資者だとかなんとか)の引退の送別会みたいな式典みたいなものでした。教会はびっしり”大物”らしい人で埋まり、高そうなスーツにネクタイ&夫人同伴、というのが100組ぐらい、という完全に閉ざされた会。銀行家と政治家のみだったと思う。
3人ぐらいスピーチがあって、その間舞台で待ってるのくたびれたけど、なんとSPDのKurt Beckが3人目に登場したんでちょっとミーハーした。この人はRheinland-Pfalz州の首相ですよ。テレビで何度も見たことあるよ。熊系の髪質が硬そうなあの人よ。テレビのまんまだったけど、何も見ないでスピーチをするところはさすがは政治家だ。
なんか今でもこういうのあるんだなーって思った。
貴族、上流階級のための音楽鑑賞の場。
昨日は早朝起床、マインツの教会でバロック楽器でミサで弾き、フランクフルトに戻ってワーグナーの「パージファル」の公演。17時から22時半まで、5時間半。
今日の夜は、プッチーニの「トスカ」を弾いてきた。
今日思ったこと:昨日と今日ではまるで違うオケのよう!
同じオケなのに指揮者が違うのと作曲者が違うのとで、私達演奏側はこんなに大きな影響を受け、こんなに変わっちゃうもんなんだなと。どちらかが悪かったという意味ではなく、単純に違うと言いたいだけ。
音楽にまつわるいろんな立場の人々、演奏者がいて指揮者がいて作曲者がいて聴衆がいて・・・。
『人』はそもそも複数存在するもんなんだから、お互いの存在を尊重することを忘れてはいけない。作曲者も生きた時代が違うだけで一人の人間だし、聴衆はジャガイモではない。
すべての人同士の関係のバランスがぴったり合うとき、その空間に皆の『音楽を愛する気持ち』だけが集まり結晶となる。今日のトスカのように。
今日の指揮者は、前のシーズンで振った人と違うらしく、オケには不評だが、私は前を知らないので、結構いいなと思った。なんかね、ここぞと言う時に野球のフルスイングみたいに横にブンって振るの。ビンタが飛んでくるような感じ。これが「ヘン」と言われる所以だろうなと分ったけど、別にいいじゃんと思った。プッチーニの音楽にどっぷりハマって幸せそうないい顔をしていたので、こっちも気分が良かった。
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