水野の図書室
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2021年03月12日(金) |
柴田よしき『どっしりふわふわ』 |
「注文の多い料理小説集」(文春文庫)のラストを飾るのは、柴田よしき『どっしりふわふわ』。 パン職人の方や、パン作りが趣味の方は、ものすごく引き込まれると思います。 パンやさんを開業したいという人にも参考になる部分がたくさんあるのでは?
タイトルのどっしりふわふわは、どっしりしたパンとふわふわなパン。 日本人は、ふわふわ系が好きな人が多いといいますが、どうでしょう…… どっしりハード系も人気ですよね。
恋のお話も絡めながら、ふむふむと読み進めていくうちに、 エエエエーーーーー!? という展開になって、騙されたというより、作者に負けた気分。 してやられましたな。って、こういう時に使うんですね。 文字だけで読む楽しさを再確認しましたよ。 おふたり、幸せになってね〜 美味しいパンが食べたいわ〜
この短編集七つの物語、最初の柚木麻子『エルゴと不倫鮨』と最後の柴田よしき『どっしりふわふわ』が特に印象あざやかです。
料理を巡る極上の七つの物語「注文の多い料理小説集」(文春文庫)なら、期待するのはグルメ物語。 というのは、勝手な思い込みでしょうか。
深緑野分『福神漬け』はグルメ物語の対極にあるようなお話。 登場するのは、経済的に困窮する大学生です。 両親が営んでいた喫茶店が立ち行かなくなり、大学を休学。 コンビニと大病院の清掃員。ふたつのバイトを掛け持ちする日々。 特製肉まんか、売れ残りのあんまんか。 60円の差で安い方を選ぶのは切実。 お金がないって、悲しい。
コンビニで働いた後、大病院の清掃員のバイトに直行。 作業の合間の休憩時間に不思議な出来事が主人公に起こります。
歴史を振り返れば、グルメなんて、最近の言葉。 昔は生きるために食べていたんですよね。
福神漬を無性に食べたくなっています。
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