水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
荻原浩の短編集「海の見える理髪店」、最後のお話になりました。 『成人式』は、15歳で交通事故で死んだ娘に成人式用の着物カタログが送られてきたことで、気持ちに変化が起きる夫婦のお話。
娘の代わりに成人式に出るという思い付きに心を寄せ合っていくようすから、事故のあと、ふたりで支えあってきたのだろうと容易に想像できます。 ある朝、突然、娘が交通事故で死ぬなんて、考えるだけで胸が張り裂けそう。 亡くなったことを知るよしもない業者からの非情なDMにハラハラしたあとの夫の突飛な思い付きに、ポカーン。 でも、いいではないですか!いいチャンスです!
思い出を数えるための人生ではないのです。
過去は過去として、今日を生きる。 今日の過ごし方が、新しい過去となっていく。 悲しいことがあっても、いつまでも泣いてばかりいられませんよ。
この短編集の中で、一番胸に残ったのは、やはり、『海の見える理髪店』。 直木賞受賞作だけのことはあります。
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