水野の図書室
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2020年06月19日(金) 荻原浩『遠くから来た手紙』

荻原浩の短編集「海の見える理髪店」(集英社文庫)を読んでいます。
表題作『海の見える理髪店』で描いたのは父と息子、『いつか来た道』は母と娘。
三番目のお話、『遠くから来た手紙』が見つめるのは、夫婦の関係。
家族の物語は感情移入しやすくて、心に深く染み入ります。

『遠くから来た手紙』は結婚して3年目の祥子が幼い娘を連れて実家に戻ってきたところから始まります。
大体、こういう場合、義母は口うるさく、夫は義母側。
予想通りの設定なのが、物足りなくもありますが、まぁわかりやすい。
実家といっても両親だけでなく弟夫婦も同居してるとなると、当然、居心地が悪いわけで。

謎のメールという奇跡がおこり、気持ちを新たにする祥子。
自分の悩みが贅沢なものだと知るには突飛すぎる出来事ですが、誰も信じてくれないような奇跡はあります。

夫婦の関係なんて、若くして結婚しても、わずか80年にも満たない。
義母にも義母の悩みはあるのです。がんばって!祥子ちゃん。


水野はるか |MAIL
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