家に帰って郵便受けを開けたら 私あての手紙が入っていた。
茶封筒でやや厚め。
心当たりがなかったから、 裏返して差出人を見てみた。
カレからだった。
なに? なんで?
期待と不安とゴチャゴチャになった。 しばらく、封を切れずに眺めたけど、 決心して開けてみた。
中身は一枚の便せんと細長い包み。
???
便せんを開くと、見慣れたカレの字。 中身は今までのお礼とこれからもがんばりましょうの挨拶。
細長い包みは開けたらボールペンだった。
綺麗な緑のボールペン。
サプライズに驚いて、もう一度手紙を読み返してみる。 便せんの右下が△に折ってあったことに気がついた。 開くと小さな字で「同じく」って書いてあった。
これって、メールの返事!? 「好きでした」って送ったメールの返事かな。
なんかもうどうしていいのかわからない。 ただ、涙が流れてきちゃうよ。
逢いたい。 今、逢いたい。 タイミング悪いよ、もう。 東京なんかにいたら逢えないじゃない。
ここにいてよ。
カレが今日転勤で去っていった。 きっと今頃は新幹線の中。
最後の飲み会の後、メールが来た。
「遅くまでつきあってくれてありがと!」
『いいえ。こうやって一緒に飲むのも最後だし。 いなくなったら寂しいなぁ〜』
「寂しいね。泣いちゃうね。 来る?バーにいるよ」
このメールが来た時、すでにお風呂に入っていた。
うちに帰るまえにメール来てたら行ったのに。 タイミング合わなかったよ。
お風呂上がりにメールのレスを打った。
『残念!泣きながらお風呂に入りましたので。
あと、ずっと好きでした』
15分待っても返事がなかった。
『フリーズしてます? そのまま、忘れてください』
次の日の朝、メールが来た。
「はよー。昨日は、バーで一杯だけ飲んで帰りました。 入浴中失礼!ほんと、寂しくなってきちゃったよ。 これからも頑張ってよ!」
見事スルー。 気がつかなかった振りしてくれてるのかな。
カレの転勤が決まった。
カレなんていう関係じゃないんだけどね、別に。
今度は東京だそうです。 あと3週間でお別れ。 会えなくなるのはとても寂しい。
恋ではないと思う。 きっと。
ちょっと、トキメキがほしかっただけ。
自分への言い訳かな。
でも、寂しいよ。 サクラチル。 願いは叶わなかったな。
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