チビは喜怒哀楽が激しい女。
正確に言うと、喜怒哀楽の「哀」が欠落した女。
ぎゃーーーー!!!と大泣きしているときも、悲しくて泣いているという現象にお目にかかったことが無かった。大抵、腹が立つのに言葉で言えないから、その代替行為としての「抗議泣き」なのだ。
それが、夕飯を食べながらテレビの
史上最強の人間ドックの芸能人の寿命のコーナーで、突然彼女の中の何かに火がついてしまったようだ。
「死んじゃったら、星になるの?」
(実家の犬が死んだ時に、星になったと教えてあったので彼女の中では「死ぬ」=「星になる」の公式が出来ている)
「そうだね、なるんじゃないかな」
「星になったら、会えないの?」
「お空を見上げたら会えるんだよ」
「でもお話とかはできないの?」
「うーん、そうだねぇ…」
「やだ… パパもママもお兄ちゃんも星になっちゃやだ…」
「人間いつかは星になるんだよ…。でもすぐじゃないから大丈夫だよ」
「やだ、恐い… 悲しい…」
すっかり涙目。
その後、一人になるのを極度に嫌がり、小僧のトイレについていくにも一苦労(小僧も「本当にあった恐い話」以来暗いところが恐くてたまらないらしい)。
「チビがお母さんになっても、ずっとずっとママと一緒にいたい…」
すごーーーーーく嬉しい言葉で、涙が出そうになったけれど、ここで
「うん、うん、そうしよう!」
と固く結ばれてしまったら、大人になったときに彼女が窮地に立つのは目に見えている。
そんな風なことが頭をよぎって、
「チビがお母さんになったときに、一緒にいたい人と一緒にいていいんだよ」
と返事をしてみた。
チビは消化不良な顔をしていたけどどうだったのかな。ひしっと抱きしめてあげた方が良かったのかしら。
夜も、悲しそうに夜泣きをしていたし。
大人になった今でも、喪失感に怯えている私には難しい。