宇宙人がやってきた
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2005年08月25日(木) 無題

その知らせを聞いたのは もう何日前になるだろう

携帯を握りしめたまま しばらく声も出せずに呆然とする

「どうしたの」という夫の声も 廻りの景色もぐるぐると回り 膝が震える

なぜ

どうして

なにがあったの

彼女は私と同じ病を抱えていた

他人にはなかなかわかってもらえず かと言って

自分の口から説明するのは 家族ですら言いわけがましいようで 躊躇する

電話で メールで ネットで その苦しさを何度も話し合ってきた

どこも悪くないのに 日常生活すらままならず いつ治るかもわからない

苦しいね 

うん 苦しいね

けれど もう電話の向こうでそう答えてくれる彼女はいない

最後に来たメールを読み返す

実家に帰っていた彼女は他愛無い天気の話をしたあと

今の状態と その苦しさを切々と綴っていた そして最後に

「実家だから電話代かかるからね でも話せる時はメールを頂戴ね」と

次の日はネットに書き込みがあった 特に変わった様子はなかった

その2日後に 彼女は亡くなった

何通ももらった手紙を 一生懸命探す

最後にもらった手紙だけが見つからない なんで なんで

涙はでなかった 悲しさと 寂しさと 怒りでいっぱいだった 

決して頭から離れることはなく4日が経った

保育園の着替えを用意するため 娘のタンスを開けると

彼女から頂いた お嬢さんのお下がりが目に入った

玄関で靴を用意しようとすると やはり彼女から頂いた靴が何足も目に入った

そのひとつひとつの踵に 彼女のお嬢さんの名前が書いてあった

母親らしい 優しげなひらがなで ひとつひとつ丁寧に・・・

それを見たら 突然涙があふれ出た

苦しく苦しくてたまらなかった

ねえ なんで なんでよ なんでもういないの

どうしてすぐにメールの返事を出さなかったんだろう

私が返信したのは1週間も経っていた 彼女はすでに旅立っていたというのに

なんで 最後の手紙を失くしちゃったんだろう

貴女が亡くなって 2ヶ月も経つのに 私なにも知らなかった

ごめん ごめん ごめん ごめん ごめんね

貴女の苦しさを うんとわかっていた筈なのに 自分のことでいっぱいだった

ごめん ごめんね 本当にごめんね 何度言っても 届かないんだよ

さよならも言えないんだよ

今日は 台風ですごい雨だよ

けれど 溢れ出て止まらない涙も この激しい雨も

何も洗い流してはくれない

何も

何も 

何も・・・・・・・










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