あきら
目次未来過去

My追加
2002年08月03日(土)

ピアスの穴



 「おまえ、絶対にピアスの穴なんて空けるの嫌だって言って居たのに。
人って変わるものだよなぁ〜、、、」

 昔付き合って居た人に、数年前に言われた言葉。

「だってさ、手術で傷ついてる自分の身体を、誰が好き好んで自分でまた傷つけるの?って怒って居たジャン。」

これを聞いて、このピアスを空けた時の自分が、
どれだけ自分を傷つけたがっていたかを知った。

 これってどういう事か、、、
ある意味、リストカッターと同じなんだ、、、
自分に、人に訴えてるんだ。
何を?
何を?

、、、何を?

この数年間、色んな答えがあった。
まだ、その頃は旦那は「心の浮気」もしてない頃だった、、、
この穴は、色んな答えを導きだしてくれた。

 旦那さんは、私が穴を空けた時から、
記念日の度にピアスとケーキを買ってくれた。

私が忘れてしまっていても、
結婚記念日も、
入籍記念日も、
クリスマスも、
誕生日も、
出張旅費を、食費を削って余らせて、
ティファニーのピアスを買ってくれた事もあった。

嬉しくて、、、止められなかった?

 でも、毎年、膿んだ。
血が出てピアスにこびりついていた。
それでも止められなかったのに、、、。

 今、私はピアスをしていない。
 
 この夏。
ある懐かしい人に会った。
御会いするのは、7年ぶり、、、
以前は、とてもお互い、別に特別関心があった人じゃなかった。
私なんて、
「人畜無害な人」
って友達と話していた位。
なんて失礼なって思うでしょうけれど、
でも、今思えば、私にとってはとても安心出来る人って意味だったのかもしれない。

 昔、星を一緒に眺めた。
何かあると、昔から海を眺めに行く話をした。
なんだか、星を眺める事や自然に対峙する時の感覚が似ていた。
そして、星や海と言う大きなモノに対峙せずには居られない何かを
抱えている人なんだ、、、と、
お互い、そう思って居た。

 今年の夏、急に彼の今住んで居る地域に温泉が沢山あるので、
遊びに行った。
「沢山部屋あるから、どうぞ。」
って言われて、泊めて貰った。

 色んな話しをした。
7年ぶりだったけれど、ここ2年位、メールを時々交わしていたから、
全然、距離なんて無かった。
楽だった。
いつも同じ空気を吸ってる旦那とは、全然違うんだけれど、
でも、いつまで居ても楽だった。

 話してる内容は命の根源、、生きる糧なぁんて事なんだけれど、
同じ位悩んで、日々、求めてるモノだったから、
普通に話していた。

 身体の関係なんて全く必要の無い、友達、、、じゃないんだけれど、
求める人となった。
例え、それがただ通り過ぎる人だったとしても、
この時には、一番、重要な人だった。

 夜、腕を貸して貰った。
何かが、氷解して行くのをお互いに感じて居た。
「性の無い腕」
これが一番、今の私には必要なのかもしれない。
ふっと、そう感じた。

 次の日、とても有名な野湯を彼と一緒に行った。
楽しいんだけれど、やっぱり旦那にここに居て欲しいと思った。
彼にも分かったらしい。
違うって雰囲気が言っていたって、後で言われた。
終止楽しく笑って居たのに。
そんな一瞬を見のがさないなんてなぁ〜、、、

あぁ、やっぱり旦那に戻って来る。
どうしても旦那なんだ。
どんなに感覚の近い人だろうと、性の無い腕の中が居心地よかろうと、、、

自分を傷つけて迄、必要としてる事を訴えてた私。
もう良いよ。
もういいじゃない。
彼の腕は、そう言ってくれていた様だった。
私の中の何かを、氷解してくれた。
ありがとう。


この穴は、塞がる事ってあるのかな?






      

あきら |メール