オープンラストだった関係で、普段なら仕事している時間に起きて、まったりしていると、留守電ランプが光っていた。
『○○君、お父さんが大変なのよ』と、狼狽しきりの継母からの電話だった。
取り急ぎ、実家に電話しても誰も出ず、携帯に転送されているらしいんだけど、やっぱり出ない。
仕方がないので、情報収集のために店のHPにアクセスすると、3週間前から体調が優れないので、ここ二、三日は店を開けていないことが判った。
程なくして、継母から電話があり、救急車で医療センターに搬送されていると聞かされ、医師から「覚悟しておいて欲しい」と告げられたと言われた。
飯はおろか、水一杯も起きてから摂ってないけど、身内のヤバイ時にそんな悠長なことは言ってられないんで、とっとと車に乗り込んで病院へ。
そんな時に限って、俺の前を走る車は法定速度以下で走っている。
イライラを抑えつつ、病院まで30分ほどで到着。
病院の救急外来の前で継母を捜して合流。
処置室に入ると、いろんな管を付けられた親父が寝ていた。
「覚悟しておいて欲しい」と言われた割には、見た目は元気そうだったんだけども。
全身に菌が回っていて、しかも糖尿発作がいつ起きても判らない状態らしい。
医者がそう言うならそうなのだろう。
処置が終わり、一般病棟に移された親父は、落ち着いたのか、それとも日頃の疲労の蓄積なのか、あっと言う間に寝てしまった。
そんなとき、俺は何もすることが出来ないので、ただそこに佇んでいるだけで。
ただの過労とか、そういうので前も倒れたことがあったけど、今度はシリアスな状況だし、万が一のことを考えざるを得ない。
店のこともあるし、継母との関係もある。
ただ、親父にとって俺は長男であることには変わらないし、俺にとって親父は親父だ。
そう、いろいろと簡単な関係で居られることではないけども、息子として何をするべきか、何が出来るのか、考えてしまう。
今の状況が快方に進んだとしても、病気と付き合っていかなきゃいけないだろうし、仕事柄食事療法も難しいし。
ただただ、今はゆっくり休んで欲しいと思う。
|