珍しく遅番だった今日。
家に帰って風呂に入って戻ると、着信があって。
電話の主にかけ直した。
電話口では、明らかに狼狽し、状況を上手く消化しきれていない様子で、泣きながら俺に今起こってしまった事、思っていることを話している。
電話の主は、パンドラの箱を開けてしまった。
見なくても良い世界を、いや、一般的に考えると、在ってはイケナイ世界の扉を開けてしまった。
全幅の信頼、愛情の送り先、受け取った気持ち等に疑念を抱いてしまった。
揺らいでいる心を、どう落ち着かせてあげられるだろうか?
俺は電話の主より長く生きているし、そのパンドラの箱の中身も経験がある。
それを話したところで、最終的に判断しなければならないのは電話の主だ。
そして、一番大切だと思う事は「自分が今後どうありたいか?」ということだと思った。
例えば、パンドラの箱が無かったかのように振る舞う。
例えば、パンドラの箱の中身について問いただす。
自分の揺らいだ気持ちを押し留めて、平穏を装い、関係を続けていくのか?
自分の揺らいだ気持ちを相手にぶつけて、今ある関係に変化が生じたとしても疑念を晴らすのか?
どちらを取るかは、俺には決められない。
決めるのは電話の主だから。
結果がどうであれ、電話の主が泣くような事は、俺は嫌悪感を抱く。
何時の日か、「こんなことがあったよね」と笑って言える状況が来る事を祈って止まない。
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