やかましい着信音とともに一日が始まる。わしは目覚まし時計を持っていない。もう、かれこれ10年以上も。少し前は寝ることがなかった。眠ることが怖かったのかも知れない。眠るときは、心身共にゆとりのあるときだけ。そんな日々を毎日過ごしていた。その前は愛する者の声を聞いて起きていた。たまに寝ぼけて喧嘩もしたけど。朝のささやかな幸せの時。そんな朝を毎日迎えていた。その前はおふくろ。蹴飛ばされて起きていた。ただ、痛かったかも。そんなこんなで、今日も朝起きて、一日が始まる。