2005年10月09日(日) |
「ボルシチ」のルビー色の正体 |
「ビーツ」は、あまり日本人には馴染みない食材ですが、ロシア料理の代表「ボルシチ」には欠かせない食材です。最近では、デパ地下サラダコーナーでも「ビーツ」を美味しく調理した色鮮やかなサラダを見かけることも少なくありません。 赤カブにも似てますが、ホウレン草と同じアカザ科で、砂糖をとるテンサイなどの仲間です。葉や根部も鮮やかな赤色で、根を切ると、美しい紅色の輪模様になってます。赤カブは表面だけが赤く中身は薄い赤色か白色ですが、「ビーツ」は芯の芯まで真っ赤なのです。この真っ赤な色から「火焔菜(かえんさい)」という呼び名などもあります。この赤色は色素ベタシアニンによるもので、一度衣類や手などに付くとなかなか落ちないほど、天然着色料としても使われてます。ボルシチの赤色もこの「ビーツ」の天然の色なのですね。ちなみ色素が付いてしまった時はレモン汁でとれるそうですよ。 築地市場で出回るものは、オーストラリア、オランダからの輸入ビーツと、国内では長野県産の「ビーツ」です。旬は6月〜2月。欧米には白や黄色の品種もありますが、日本では濃紅色種が主とされます。冷涼な気候風土を好み、耐寒性も比較的強いのが特徴です。 栄養価もカロテン、ショ糖を多く含み、保存もかなりききます。調理法は、皮ごと1〜2時間、塩を加えたお湯で茹でて、料理に合わせて切って使うだけ。茹で上がれば、皮もツルリと簡単に剥けます。程良い酸味と甘さは、サワークリームや酢と相性が良く、サラダやマリネに最適です。茹でた後、細かく切ってコンソメで煮込めば、透明な美しい紅色スープの出来上がりです。ボルシチまでいかなくても、赤色の鮮やかなスープが楽しめます。「ビーツ」は冷たくした方が独特の香りが抑えられるので、冷製スープやジュースにしてもヘルシーな美味しさです。短時間で調理できないのは少し難点ですが、調理自体は簡単。生ビーツが手に入らない場合、缶詰でも代用可能です。品種は「アーリーワンダー」「デトロイド・ダークレッド」「レッドボール」などあります。 切り口はうすい同心輪紋になっていて、料理に彩りを添えてくれます。肉質も軟らかく、緻密で甘味が強いのが特徴です。酢漬や、茹でてサラダ料理などに最適です。
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