2005年09月26日(月) |
九千年の歴史の味 栗 |
気づけばもう秋でございます。秋といえば栗(独断)。庭に生えてる栗の木から実が「ドスンっ!ゴロゴロゴロゴロっがさっ」と屋根に落ちてくるようになると、秋だなぁ〜って感じるのです。
ところで、日本の伝統料理「おせち」にも使われている栗は、長い間日本人に愛され続けている果物の一つです。果物です(笑) 7世紀の終わりに持統天皇が全国での栽培を命じたことは有名ですが、最も古くは9千年前の縄文時代。遺跡から化石が発掘されているんです。また、古事記や日本書紀、万葉集にも関連する記載があり、生活に密着していたことがうかがえます。 日本のブランド栗といえば「丹波栗」が有名ですが、愛媛県の「中山栗」も丹波に並ぶブランドとして高い人気があるようです。産地である中山町(現伊予市)は、昼夜の温度差、降雨量など、地質的にも気候的にも申し分なく、大粒で和菓子のような上品な甘味のあるクリができます。代表的な品種は早生「大峰」中生「銀寄」晩生「岸根」などです。 築地で唯一、セリの時に品種が謳われているのが「利平」です。日本・中国の交雑種である利平の特徴は一目でそれとわかる黒茶色の皮、肉質と味のバランスの良さや渋皮が薄くはがれやすいこと。そこに収量の少なさも相まって、他に比べ高値で取引されているんですって。 九州から東北の産地リレーによって、8月下旬から10月下旬まで出回りますが、どの産地も出回り後半のものが狙い目!開花してから実が成熟するまでの期間が長いものの方が、より味がのってくるんです。 栗の実には炭水化物や食物繊維、ビタミン類が豊富に含まれています。特記すべきはビタミンC。熱に弱いビタミンですが、栗はでんぷん質に包まれているので加熱による損失が少ない!また、渋皮にはポリフェノールの一種であり抗酸化作用のあるタンニンが豊富なので、渋皮煮は栗の栄養が丸ごと摂れる一品ですね。 でも、調理に手間がかかったり皮が全てゴミになってしまうなどのことから消費は減少しているそうです。調理の簡単なむき栗は日本では加工費用が高いらしく、最近では韓国・ニュージーランドからの輸入が増え、国産の消費減退に拍車がかかっているとか・・・手間はかかりますが、食べる直前に皮をむいたクリの香りや味は格別なもの。今年の秋は一手間かけて9千年の歴史に思いを馳せてはいかがでしょうか。
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