雪の降る日


友達と会った。
彼と会うのは、2,3ヶ月振りだろか。
色んな意味で驚きの連続な再会だった。

平日休みの向こうが、わざわざ休暇を取ってくれたのに第一の驚き。
ドライブに行く予定だったのだけど、雪の予報だったので、
電車に乗って買い物に出掛けた。

男の人と買い物に行くのは結構気を遣う。
お洋服はあんまり好みのものがなかったし、部屋を明るくしたいから
お花屋さん巡りをちょっとしました。
あとは酒屋さんなど。

普段の会話はおしゃべりな私が9割を占め、無口な彼はそんなに話をしない。
帰り際に、こう言われた。
「誕生日近いんでしょ?どうしても何か買ってお祝いしてあげたいから欲しいものはない?」
会話の流れで誕生日が近いことを知ったらしい。
「明日こそ免許の更新に行きたい」と言ったせいだろうか。

うーん…。
アクセサリーという気分でもなかったし、お酒の気分でもない。
彼の言葉を言われる前に、お花屋さんに立ち寄った時に「イメージに合うやつはある?」と尋ねたら「…ない」と返答されたので、こちらも却下。

何かを妥協して選んで貰うのは嫌だったので、悩んだ挙句、断ってしまった。
あまり感情を表に出さない彼が、私の為に何かを探そうとする、その顔を見るのが段々辛くなってきてしまった。


「来月、旨い店でご馳走するよ」
「ありがと。楽しみにしてる」

別れ際もやっぱり私は冷たかったのかも知れない。
「大丈夫?家まで送ろうか?」
「いくつだと思ってるの?一人で大丈夫よ」

彼にしてみたら、何かのサインだったのだろうか。
「送るよ」なんて言葉は今まで聞いたことがないもの。

普段は私の方が待ってばかりの待ち合わせも、彼の方が早かったし、
「ちょっと聞きたいことがあるんだ。大事な話がある」と
言われた時も、慣れない言葉に戸惑うばかり。

今まで意識していなかった、『男』の態度に私は自分の感情の居場所を無くしてしまっていた。
それは、彼と相合傘をした雪の魔法だろうか。

2004年01月17日(土)