咳止めシロップ


普段お世話になっている動物病院に去年、女医さんが入った。

我が家ではかなり不評。

良く言えば、率直。
悪く言えば、デリカシーがない。

「この子、頑固ですよね」
「ちょっと顔が汚いですね。」
「身体がベタベタしているので、シャンプーは1週間に1度ではなく、
2・3回行って下さい」

等々、言いたい放題。
聞いているこっちは、内心で怒り爆発。
「動物が好きで獣医さんになったんだから、もっと愛情を持って
接して欲しいよね!」とよく家で話したもの。
ちなみに、副院長先生は顔が汚い時は「ちょっとお顔キレイにしたい
ですねー」と笑って言う。

彼女に当たった日には、貧乏籤を引いた気持ちになっていた。


気管虚脱で今回お世話になっているが、
冒頭で書いた頃とは全く違う接し方になっていた。

動物に対して優しくなった。

お化粧完璧で、捌くように診察をこなす、あまり獣医らしくなかった
彼女が、段々獣医らしい顔になっていたのだ。
夜勤明けで髪ボサボサ、化粧など殆どしていない時もあるけれど、
この子と向き合おうとする、その姿にとても好感を持った。


咳止めだけはどうしても飲んでくれないことを相談したら、
甘いシロップを処方してくれることになった。
普段、お薬の待ち時間は5分程度なのに、30分以上待つ。

家であげようとした時に、その理由を知った。

わざわざお薬をお水で溶かして、甘さを調節してくれていたのだ。

まだかな。疲れたな。早く家に帰りたいな。
待っている間にそう考えていた自分が恥ずかしくなった。

不運なことに、彼女お手製のお薬も失敗に終わったが、
女医さんの気持ちにとても救われた1日だった。

2004年01月13日(火)