にきにっき
アカネール



 穴埋めはち

蜂蜜が、とろり


帰ってきたとたんに、おかえりよりも早く抱き締められた。
玄関でまだ靴もはいていて、そんな状態で、ちょっと間抜けだななんて思いながら、ただ驚いてしまった。

瀬依くん。どうしたの?

あたしが聞いても何も答えないから、体を離そうと力を込めたらそれ以上の力で、また抱き締められた。

ここ、みんな来るよ?

玄関でだなんて、他の住民がいつ帰ってくるか、わからないのに。
何をいっても返事もなくて、あたしはただなすがままだった。

何分くらいそうしてたんだろう。
瀬依くんがポツリと呟いた。

むぎは、いなくならないでね。

答えようとしたとたんに、離されてもうにっこり笑顔が、そこにあった。
はぐらかすようなその笑顔にきょとんとしていると、鼻歌まじりに部屋に戻っていった。


なんなの?

ただそこには靴を履いて、立ち尽くしていた。



2010年05月11日(火)
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