七転八倒 〜彩音の日常&育児日記〜
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無性におなかがすいて入った店で、一組の親子を見た。 まだ小さい男の子。やんちゃそうで、席にじっとしていない。 店の中を歩き回って、お母さんはため息をついてから、やっと子供を探しに行く、といった様子。
しばらくしてこんな声が聞こえてきた。 「何度同じことを言ったらわかるの?!」 母親の苛立つ声。 私はなぜか涙が込み上げそうになり、思わず席を立った。
私も同じような言葉を息子に投げかけていることがある。と内省させられたのも事実だが、 同時に、ごくごくふつうに育っているその男の子とその母親がうらやましかったのだ。 もちろん今通うクラスにも、さまざまな問題を抱えたお子さんがいて、親の悩みもそれぞれ異なる。 私たち親子のことをうらやましいとさえ思う方もいるかもしれない。
それでも私たちから見れば、ごくふつうに育っている子供とその親は、その幸せに 気づいていないのだ。 と私は強く感じてしまい、涙がこぼれそうになったのだった。
いつものように息子を迎えに行き、途中夕立の雨がパラパラ落ちる中、家路を急いでいると、 「○○(息子の本名)、きょう、およげたんだよ!」 その一言に私は 「ほんと?!よかったねーーーーー!!!」 と思わずぎゅうっと息子を抱きしめた。 涙があふれてきて、家に帰る途中も、帰宅してからも、ずっとにじんだままだった。
そういえば帰りがけ先生も言っていた。 「今日、○○くん、プール頑張ったんだよねー?」
連絡ノートには、背中を下にして、先生にささえられながら浮いたらしい(本人談)と書かれてあった。 それでもうれしい。 息子自身がとても喜んでいて、自分の日記にもその喜びを書いていた。 プールを好きになっていく息子を見て、そしてあの親子を思い出して、 ふだん人はなかなか幸せに気づかないで過ごしてしまうんだなと思った。
ほんとのしあわせは、小さくて目に見えないくらい小さいけれど、ちょこんと私たちのそばにあるんだね。
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