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あたしらには『看板』が有る。 何が何でも汚すことの出来ない『旗』が有る。 まみちゃん。1コ上。 大阪の大学で。『旗』を掲げた。 親に、大学を辞めさせられて。実家へ連れ戻された。 家から叩き出された。 車も取り上げられた。 彼女は。独り暮らししながら。 「久美ちゃーん。人間、何もせんでも基本料金は取られていくのね。 働くように出来てんのよ。人間は。」 って笑ってた。 夏目「も1回しろって言ったら出来る?」 まみちゃん「出来ん!(笑)」 夏目「私も出来ん!(笑)」 私は。高校の時。 その『旗』を孤立無援で掲げた。 だから。 20代前半。 友達は遊んでて。 だけど。私らは。 お腹すかせて。吐いてでも動いた。 遊ばず。仕事しながら。プライベートは無かった。 ただ、一途だった。 どんなに悔しい思いをして泣いても。 それはいつか誇りに変わった。 泣いたぶんだけ、私らには『プライド』が出来た。 『貫く』プライド。 それは全部。『覆す』ため。 10年も20年もかかる、一生もんの闘い。 小学生の男の子の兄弟が居た。 大人びた気を使う子たちだった。 馬鹿だね。子供時代なんて。今しかないんだから。もっと我儘でいいのに。 そしたら。訳は解った。 Kさん奥さま「久美ちゃん。あの兄弟、学校変わるんよ。もう来れんって。」 夏目「何でですか…?」 Kさん奥様「今までお婆ちゃんのとこ。おったけど…。両親離婚して。 訳あって、どちらも引き取れんって。…でも、お婆ちゃんも生活厳しくてね。 今度から施設に入る事になったんよ…。」 他人じゃ、私じゃ、何も出来ないじゃないかよっ!! そんな財力ないよ。 悔しいよ。 泣いたよ。 同情でも何でもいいよ。知らないよ。 親が両方引き取れんって、どんな状況よ!? 私らの闘いは地味でしかなく。 結果なんて。出るのはずっと先の事。 うちの師が言う。 「健気っていうのは、強いこと。強さ。強くなりなさい。」 だから。待ってるから。 10年後でもいい。 ここへおいで。 私らは、待ってるから。 だから。私らが負ける訳にはいかなくて。 「闇が深いぶんだけ、暁は近い。」 それを信じるしか道なんかなくて。 「誰よりも苦労した人は。誰よりも幸せになれ。」 幸せなんて。してもらうもんじゃなくて。自分が成るもんだ。 私らは、そう教えられる。 逃げられない。 本当は逃げたくなんかもない。 時に挫けて逃げてても。 ずっと待ってくれてる人が居る。 私らには『四面楚歌』は無い。 背中にはいつも味方が居る。 それは、皆が泣きながら手に入れたもの。 譲れない、もの。 阪神大震災のとき。 自分の家を全て無くしても。 「ここが有るなら、いい。」 と。 立ち上がる人。 自分の親を亡くして。自分も傷をおっていても。 20代の女の子でも走った。 だから、走れた。 手に救援物資持って。どこへでも行けた。 そんな人この世には居るのに。 逃げられないよね。 一生ね。 |
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