ヘイユー ちょいと一杯やってもいいですかい ああいですかいあいすみませんねえ そりゃああたくしだってねえ あタバコもヤッていいですかい あいすみませんねえ ええとどこまで話しましたかねえ ええまあ恋だとか愛だとか そおゆうもんはうっとおしくて そんな言葉には反吐が出るもんなんですけどねえ かといってねえ まあそこが人間の弱いとこなんて言うんですかい 社会を忌み嫌いながらも 一社会人として生活してるとねえ 人を好きになってしまうこともあるんだよ まあそんな 滑稽な話があるんだけどねえ ヘイユー ちょっと聞いてはくれやしませんかね その娘は 不幸な娘でねえ 親が貧乏だったり義父に犯されかけたり DVってわかるかい ドメスチックバイオレンスてえのんは朝飯前 なんてもうアナタは不幸のデパートじゃないですよ 生まれついての不幸の総合商社ですよなんて そんな不幸な娘でねえ 案の定 そんな環境に居るとねえ 見事にグレちゃうわ 離婚しちゃうわ リスカしちゃうわ ODしちゃうわ まあね 定番とでも言うんですかね不幸少女の それでも彼女は 生きることを諦めずねえ 一生懸命に生きてたんだよねえ まあそんな娘 ああもう一杯飲んでもいいですかい あいすみませんねえ まあ何故そんな娘が よくもまあ死なずに生きてるのかってえとねえ マニアックだとかオタクだとかアングラだとか そおゆう世界にのめり込んだんだねえ きっとその小さな小さな世界だけが 彼女を受け入れてくれたんだとねえ ある男がそんな娘と知り合ったんだよ ネットっつうのんは便利なもんだねえ その男もそんな小さな小さな世界が好きな男でねえ そんな共通の趣味を持ったもの同志が出会うとどうなるか 例えばメール一つにしても まあ普通はボケたら突っ込みますがななんでやねんと でもねえ片方がボケると もう片方が更に輪をかけてボケ返す するとさらにボケ返すもんだから お互いボケっ放しジャーマンてえ状況だなこりゃ まるで暗号みたいなメールになったもんだよ 男はそれが心地よかった 打てば響く 30年近く生きてきて そんなことはなかったんだろうねえきっと でも男は自分から会おうとはきり出さなかった 何故なら愛別離苦 出会いがあれば必ず遅かれ早かれ終わりがお別れがくるのだから 終わりが来るくらいなら ずっと現状維持のままが良いって思ったんだろうねえ 臆病な男だよまったく でも知り合った以上 人間の欲として会わないわけには行かない で、ついに会ってしまったってわけさ その時間は邂逅とでも言うのですかねえ 初めて会った気がしないとでも言うのですかい まあメールしてるわけだから そんな気がするのは当り前なんだろうけどさあ お互いが会ってなかった時間を埋めるが如く たくさん。そりゃあもうたくさん話しをしたものさ カレーを食いながらね 街中を歩けばちょっと頭のイタイバカップルみたいだったねえ 男はそんな時間が永遠に続くわけはないと思いながらも 続けばいいなとふと思ったもんさ でもねえ けどさあ この世は不条理というもので形成されていてねえ こうありたいこうなってほしい という思いは誰彼なく叶わないもので 二人にも当然不条理が訪れたのさ 二回目に会う直前さ 彼女は やんごとなき理由で 故郷に戻らなきゃいけなくなってしまったんだよ 帰省とかそんなんじゃなくってさ 本当に帰っちゃうってえあれだよ しかも田舎は北海道だ 大阪からはちょいとそこまで気分で なかなか行ける場所じゃあない せっかく出会えたってえのにさ しかもその日は 男の誕生日の前日だなんて まったく神様ってえのはどこまでも意地が悪いや ともあれ 彼女はそんな残酷な状況に泣き叫びそうになってもんだからさあ 男はね 女が泣く姿が嫌いなんだな 女はやはり笑ってる顔とフェラーチョしてる顔が一番なんだからさ 限られた残された時間で 男は彼女が笑えるように 笑って帰れるように前向きに生きれるように 気の利いたことは言えないけれど 持てる知識で残りの時間を楽しんだもんだよ 彼女もいっぱい笑ってくれてねえ でもねえ そこはほら男と女なんだよねえ所詮 男は女を抱きたいと思ったんだよ それは彼女に惚れたのか それとも思い出作りか 単なるちんこのハケ口なのか 細かいことは解らないけどねえ そしてアナル・マッサージもしてあげたいと 便秘で悩んでいたのも知ってたからねえ せめて便秘くらいは治して 帰らせてあげたいと これは素直にそう思ったんだな でもね やっぱりカラダを求めちゃうと 如何なる事由であれ ああやっぱカラダが目的なのねと 思っちゃうよなやっぱり 男はそこまで女心を理解しちゃいなかったんだよ 29にもなったってえのにさ でもね 男はただ一緒にいたかっただけなのさ ちょっとでも近くにいたかった ちちくりあいたかっただけなのさ まったく男のちんこってえのは どんな状況でも身勝手なもんさ そんなことしか言えない自分に 男は不甲斐無かっただろうねえ そして 独りの誕生日がきて そして 夏がもう終わるねえ おっと ちょいと感傷的になっちまった いけねえいけねえ俺らしくねえや もう一杯だけ飲んでもいいかい でもねえ 男はそんなに悲しく落ち込んじゃいないそうだよ 短い間だったけど むしろ楽しかった むしろありがとうとねえ 何より故郷に帰ることは彼女が決めたことだ それを尊重して応援してやりたいし 彼女も最後は元気に笑ってくれたのだから むしろ楽しかった むしろありがとうとねえ それに別に死ぬわけじゃあない 最後の別れと思っても いつかはまた出会う なあんつったらいいかな 苦しい事は多いけれど 哀しむ必要はないつうのかな 不条理は多いけれど まあそれが人生つうもんだよ 男は彼女のことが好きだったのかもしれない でもそれはそんなに重要なことじゃあない ただそれだけのことだ ただそれだけのことなんだ 願いが叶わなかったからといって 忘れる必要も無いし これ以上望むこともない ただそれだけ ただそれだけのことだったんだよ どうだい 酒を飲むにはいい滑稽な話だったろう え?なんだい その男は俺じゃあないのかいだってえ あはは そんなことも どうでもいい話しだよ ただこの話には続きがあって 男は彼女に 最後に言い忘れたことがあるのだな ありがとうごめんね それだけ それだけ 少し悔いてるそうだよ さあて 今日は少し飲み過ぎちまったい ブルブルブルブル なんだい少し冷えてきやがった 風呂でも入って オナニーでもして 寝るとするかい 明日からまた仕事だ ら〜らら〜らららららら〜 ら〜らら〜らららららら〜 ほしくずぅ〜。
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