DIVA
地下鉄に乗ると歌姫が現れて 美しく死になさいと耳元で囁く 死ぬことに 美しさも何もない 私は死にたいのであって 美しくありたいわけではない
DIVA 螺旋の先はいつも尖っている ささくれた傷跡だけが疼きを残して その痛みでしか 生きていることを感じられない 瘡蓋を剥ぐことだけを得意として 生者はいつも 私の中で死んでいる むしろ私こそ 死んでいるのだろう
私は死にたいのであって 美しくありたいわけではない DIVA 死者にとって 美とは何ですか 迫害と排除がいつもつきまとう 死者にとって美しさとは 苦しみと同義ではないのですか
地下鉄はいつも 美しく人々を運ぶ 歌姫は先頭車両をはみ出て 轢かれて破片となる DIVA 歌声もともに破片となって 知らぬ間に消えていくのに それなのにDIVA 車両が駅に到着し 美しく人々が動き出す
DIVA 歌声は届かない その美しさゆえに その苦しみゆえに かすかな祈りのように 消えていくだけなのに
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