即興詩置き場。

2006年02月27日(月) 私たちの河は海に届かない



私たちはとても弱いので
ときどき何かを殺めたりもする
ぬばまたの真夜中に潜む
声を持たない涙のように

私たちはとても怖くて
目を瞑って過ちを繰り返す
陽光のまぶしさが作る
白い闇を前にして
絶壁の一歩手前で
扉を開けてしまう

体が震えるときは
心も震えている
私たちはとても愚かなのでそれを
他の場所からもたらされたもののように扱う
私たちから生まれた
その震えをそのように
扱ってしまう
ことに気づかず
いつまでもそれは生まれ続ける

私たちは知らないうちに
歌を口ずさむことがある
それは誰かへの祝福であり
同時に誰かへの呪いとなる
歌に
罪はなく
私たちは口ずさみながら
石を投げてみたりする
どこかで血が流れて
それを悔やんでも
殺めたものは殺められたまま
いつまでも戻ってこないのに
私たちは赦されないまま
何かが終わるのを
いつまでも待ち続けている




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