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僕の、場所。

今日の僕は誰だろう。



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戦う飛行機と僕

8階からは、飛行場が見えた。



旅客機ではなくて、戦うための飛行機ばかりだ。
荷物を運ぶための飛行機も、
医療設備のある飛行機も、すべて、戦うためのものだった。
細部まで見えてしまうような、
パイロットの顔まで見えてしまいそうな(反射して見えなかった)、
目の前を堂々と滑空するスケール模型のような、
戦うための飛行機。



はるか上空で小さな三角をしていた戦闘機が、
着陸するまでの一連の動作が、一番魅力的。
軌跡が描く曲線と、肉薄する機体の無機質が、芸術的。
二重になった分厚いガラスに両手をつけて、
もしかしたら頬まで押し付けて、目で追いかけた。
あのコクピットから、何が見えるだろう。
海と、海岸沿いの小さな町と、それから田畑を隔てて基地と、病院。
また少し住宅街が広がってすぐに山裾を走るバイパス。
僕が地図帳で覚えたこの町を、眼下にみているのだろうか。
そして、僕の知らない、広い広い世界が続いているのだろうか。



世界は、広いのかな。
8階の窓から見える世界だけじゃなく。
海の向こう、山の反対側、道の先に。
僕の知らない、世界があるけれど。
広いのだろう。きっとそうなのだろう。
治安や騒音で白眼視されている戦闘機に、
僕が抱いたのは純粋な憧憬。



飛び立て。高く。なめらかな弧に乗って。はるか高く。
この町一番の病院なんか米粒に見えるように。
僕の命なんか些事に思えるくらい。


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