泣かないが少年が一人
いつも元気に走り回っていました
太陽から生まれてきたような
本当に本当に優しい心と
誰かを愛する幸せを知っている子でした
だから
だから
誰も気付かなかったのです
少年は泣けないのです
「あなたと居ると楽しいわ」
「君は明るくて良い子だね」
「元気がいいね」
「いつも笑ってて、本当にかわいい」
少年は泣けないのです
「うん、僕はいつも笑っていたいよ」
泣くことを忘れてしまったのです
白い服の行列を見ても
真っ赤な液体を見ても
暗闇を知っていても
どうやって泣いていいのか忘れてしまったのです
笑い方は知っているけれど
泣き方は覚えていないのです
少年は思いつきました
じゃあ
赤い涙を流そう
笑って
笑って
笑いながら
冷えた刃を手に取るのです