僕の、場所。
今日の僕は誰だろう。
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雑貨屋に足を運ぶ人というのは、幸せだ。
雑貨に意識をやる事の出来る人。 雑貨を眺める余裕のある人。 雑貨を買う余裕のある人。 雑貨を並べておく心境の人。 雑貨を買ってプレゼントする相手のいる人。
こうしてレジに座っていると、 ついその人間模様を推測したくなる。
最近は男子高校生がちらほら見える。 彼女にプレゼントでもするのだろうか。
カップルで来る人たちもいる。 僕の仕入れた雑貨で彼らが幸せを分かち合えるなら、僕も幸せだ。
手頃な値段の、それでもデザインの素敵な指輪を買った人がいた。 ご自宅用ですかと訊ねると、少し迷ってからハイ、と答えた。 自分でラッピングするもまた楽しみだろう。
複数のクリスマスカードを買った人もいた。 明らかに一枚だけ差のつけられた上質なカードに微笑がもれる。
小さな子供を連れて、来年のカレンダーを買っていった人もいた。 カラフルで大きな数字のカレンダーは家庭に華を添えるだろうか。
最近入れたユニークな温度計を手にして値段を見て悩んだ表情をして、しばらく名残惜しそうに触りながらも何も買わない人もいる。 気に入ってもらえたようで僕は嬉しい。儲けにはならないけれど。
さて僕はどうしようか。 飼い犬に新しい首輪でも、買って帰ろうか。
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