ただ遠くから見ているしかなかった
口出しする権利も立場も無い
ただ僕は
見ている事しか許されなかった
近づいて抱きしめる事も
敵を排除する事も
安全なところに連れ出す事も
何も
血を流して倒れている君に
ハンカチ1つ渡せずに
君は君で助けを求めたりしなかった
ただ懸命に一人耐えていた
痛い、などという感覚も既に絶え
きっとただ恐ろしかったのではないか
その小さな瞳映るのは
地獄絵図そのものだったのではないか
ただ己の境遇を語ってくれた君は
冷たく笑った
帽子を目深に被る君
その赤色に手をやってそっと撫でたかった
けれど
少年のような悪戯っぽい笑顔が
どこか他人を跳ね返しているようだった
今はもう大丈夫だよ、
なんて言えないけど
きっときっともう
君はあの頃の君じゃないだろう?
色んな君、全部ひっくるめて
僕の大切な友、だから。
今
懸命に生きる君に
此処からエールを。