追っ手は多数それなのに逃げる手段は二本の足のみたとえ走り疲れようと骨が折れようとお構いなし眩暈と動悸の中それでもそれでもどこか遠くへと望む背中に届く手を振り払い出来る事ならあの子の傍にどうしてどうして走り出せなかったのかこの腕で包めなかったのかろくな言葉も見つからなかったのか苦しませたのか暗くなる意識の向こう思い出せない笑い顔