僕の、場所。
今日の僕は誰だろう。
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「どうしたの」
顔を覗き込む君が可愛い。
「ごめん…ちょっと調子悪いんだ」
実はちょっとどころじゃない。
「わっ大変…! どこかで休もう?」
言えないか。
「いや大丈夫。いつもこうなんだ俺」
ま、嘘はついてない。
「でも私が心配だよ…」
ああ、可愛い子だよ本当に。
「じゃーコーヒーでも飲むか」
大道具のように丁度いいところにある喫茶店。
「本当に大丈夫? 顔色悪い…」
「おー、ヘイキ。…そんな顔すんなって」
本当の事を言ったらどんな顔するんだろう。
けど、そんな顔させちゃダメだろう。
圧迫され続ける心臓が悲鳴をあげている。
この子の前で倒れたりなんかできねーよな……。
と、思った途端にピントがずれる。
「悪……」
「ちょっと!? どうしたのっ」
手に汗。顔にも背中にも。熱い息。
「心配すんな…」
顔もまともに見えてない。世界が白い。
「救急車、とか…っ」
「お客様」
「誰か倒れたぞ!」
「キャアッ」
「ねえっ起きてよぉっ…」
あー……泣かしちゃったかな俺……。
……謝んなきゃなんねーから、俺は死なねー…。
こいつ残して死ぬ気もねーし…。
いつのまにか懐かしい消毒液の匂い。
どうして病院って白いんだろう。
清潔さを訴えたいのだろうか。
冷たくて好きだから文句は言わないけれど。
「心配するなってね…言われる方が辛いんだよ」
心配される方だって辛いんだけど。
「私は君を心配することもできないの?」
そりゃ…気持ちは分かるけどよ。
「治療も診断も出来ないんだから、せめて心配する役させて…」
心配させたくないから言ってるのにな…。
「だめっ。君いつも知らないうちにフラフラしてるんだから」
確かに悪いとは思ってる。
「心配されたくないなら、心配しなくてすむように、ちゃんと自己管理して」
…正論だ。
「私、君がいないと寂しいんだよ?」
じゃあ、寂しい思いをさせてしまうんだな、俺は…。
俺は俺の診断結果を知っている。
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