突然泣きたくなったときに、
一体どうすれば良いのだろうか。
流れる風景、流れてしまった後に残るものは何だろうか。
もしもあの時、線が交差せずにすれ違っていたら。
僕が違う僕だとしたら。
蝉時雨に打たれながら、一年の月日は短いと感じる。
少しの勇気で、もしかしたらあの位置に帰れるのかもしれない。
どれだけ頑張ったところで、もう届かない場所になってしまったかもしれない。
構成する要素のうち1つ、すでに失われたと知っているのは僕と彼女。
君はまだ心の底で、願い続けているのだろうか。
かつて手にした剃刀は、依然として冷たい輝きを放ったまま――。
そうやって僕は君を苛んでいたんだ。