波の合間に、彼は存在していた。浮きつ沈みつ、常にその境目を好んだ。僕が彼を波間に見付けても、君は決まってすぐに行ってしまう。いくら君をしっかり腕に捕らえようとも、君は巧みに僕から離れていく。しかし、だからこそ君は時折僕の視界にふと現われる。気紛れな君、君の魅力はそこにあるのかも知れない。