お風呂から上がって、基礎化粧を一通り済ませた。
ここまでは同じ。

ネックレスを外す…。
左手薬指の2本の指輪を外す…。

ガラクタばかりの様なジュエリーボックスから、クロスのネックレスを取り出して、着ける。
白蝶貝のクロスの指輪は左手薬指。
黒蝶貝の文字が入った指輪は右手中指。

コットンに除光液を染み込ませて、両手のマニキュアを落とす。
コーラルピンクのラメ入りのマニキュアを全部落として
青味がかったピンクのミラーのマニキュアを塗って行く。
その上にトップコート。

masayaと逢うときのあたし。
明日はきちんと、化粧もするはず。
今は滅多にしないマスカラとかも塗るかもしれない。
でも面倒だから、そんなの気分次第。

逢ったら、いつも通り

　
「お久しぶりです。」「はあ。そうですね。」って挨拶して
　
　
あたしは「masaya君」て呼んで、
masayaは「ゆうちゃん」て呼ぶんだろう。
　
　
ん？性格は同じだよ。
masayaの前でも、先生の前でも、変わんない。
相手の反応が違うだけ。
　
masayaは理系だから、理屈で説明しつつ答える。
先生は体育会系俺様だから、その時の感情で答える。
　
　
そんなことを考えてたら
「イミテーションゴールド」て歌を思い出した。
　
明日は名古屋。
最近のあたしとは、違うあたしが、行って来る。


先生に買って貰った指輪とネックレスは繊細で可愛い。
masayaに買って貰ったネックレスと指輪はすこしガッシリしてる。

指輪は同じブランドなのに…。
今はもう作ってない白蝶貝と黒蝶貝は、すごく好きなデザインだから、手放せない。ネックレスは、3月で丸9年を迎える。
彼があたしのそばから居なくなる時に、買って貰った物。

さっき、「青い部屋」を読み返してた。


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2002,3,25（月）

>車のドアを開けて、一瞬のキス。
>軽くあたしの頭を撫でて、masayaは言う。

>ちゃんと連絡するから。ひとでなしじゃないぞ。

>うん。ありがとう。気をつけて。

>いつものように、
>普段と全く変わりなく、masayaはじゃあと手を上げて
>車を発進させた。


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あれから、9年。
ほんと、ひとでなしじゃなかったね。

何度も切れかかった細い細い糸。

ね、masaya君
まだ…繋がってるの？

そんなことは訊かないけどね。
今年の７月で、丸10年になる。

愛とか恋とかなんか超えちゃった感じ。