家に帰ったら、玄関の靴入れが増築されていた。 簀の子で作った簡単な手作り家具だけど、あきらさんのお手製のもの。 やっとこういうものを作るところまで戻ってきたのね。 新しい仕事が決まったことよりも嬉しくて、涙が出てきた。
もちろん生活をしていける程度の収入は必要だけど、 私に甲斐性があれば、別にあきらさんが働いていなくたっていい。 毎日遊んでいてもかまわない。 彼女が彼女らしくさえあればそれでいい。 ただ時間を過ごすのではなく、『生きて』いるなら何をしていてもかまわない。 彼女が『生きて』いることは私にとって喜びだし、一緒に生きる私にとって必要なこと。
あきらさんが『生きている』こと。 私が『生きている』こと。 それがふたりにとって、大事なこと。
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