早くもなく遅くもない時間に家を出る。 新婚旅行のディスニーランドとは違い、今回は大人の旅行ということで。 中学生の頃、「日出処の天子」にハマった私の憧れの地、奈良へGO!
「ふたりで、電車で、旅行に行くことが目的なの」 とあきらは言う。 車もいいけど、電車の方が旅行らしいもんね。 一緒に並んで寝そべってガイドブックを見て予定を立てて、 同じ駅発の切符を2人分予約して、毎晩「楽しみだねー」と言って寝る。 行くまでの時間も思いっきり楽しむ。 ふたりの初めての、旅行らしい旅行を満喫するのだ。
1日目のメインは明日香村。 天気は悪いけど、あんまり暑くならなさそうなのが救いだ。 橿原神宮駅に着いてみたら、バスがあと1時間たたないと来ない。 時間つぶしに橿原神宮を散歩以上の早さで歩いて掠めてみた。 ‥薄い。 歴史が浅いから、かな。 やっとバスが来て、飛鳥寺、石舞台、亀石と回るコースに出発。 時刻表を見つつ歩きも交えて臨機応変に行く予定。 バスの中から見る街並みがとてもステキ。 こういうのを歴史のある街並みっていうんだなあ。 やっぱりレンタサイクルで回ってみたいかも。でも上り坂‥よね‥。
飛鳥大仏は思ったより小さかったけど、どっしりとした存在感があった。 ずっとこの場所にあり続けたんだから、存在感に厚みがあるのは当然なんだろう。 飛鳥寺を取り囲む風景は、私が想像していた万葉の風景そのまま。 目立ったものが何もないから想像力がどんどん働く。 ここでいろんな物語があったのよねえとシミジミしながら、 小雨の中、田んぼの中をぶらぶら歩き、蓮の写真を撮るのに熱中する。 こういう寄り道、だーい好き。
さてお次は石舞台。 しかしバスはそこまで辿りつかず。 地図で見ればバス停はあるんだけど、 私たちに都合良くバスが通っているかどうかは、全然別の問題である。 よっしゃ歩くべと思ったけど、思いもかけず本日のメインエベント発生。 あきらさんのおなかが「ぐう」と鳴いたのでありました。 もちろん、この時点ではメインになるなんて思っていなかったけど、 たまたま見かけて入ったお蕎麦屋さんが大ヒット。 旨いーーー! 蕎麦会席を頼んでみたらば、それがすんごく旨かった! こここれは‥お酒がほしいところ‥えっと‥ビール? イヤ日本酒でしょう。 と、あきらさんのアタマの中で何かが駆けめぐり、 「すみません、お酒ありますか?」 真っ昼間だけど、旅行中だからいいの。 それから冷酒が出てきてカンパーイ。 ふたりして旨い旨いと飲んだり食べたりしていたら、 奥から出てきた店のご主人が 「えらい人が来ちゃったよ」 とおっしゃって、いま栓を開けて私たちに出したお酒の残りをくださったのだ。 きゃー、やっぱりあきらにはおいしいもののカミサマが付いている! 有難く嬉しくいただき、デザートのきんつばを冷酒と共に味わってがら、 大大満足で店を後にしたのでした。 偶然に寄った店だけど、ここでほぼ旅の目的を達成したような気分に なってしまったわ。
お酒で重くなったリュックを(あきらが)背負い、石舞台まで歩く。 なだらかな山の途中にあって、なかなか見晴らしのいいところ。 教科書の写真からだけじゃ想像もできない。 何度も写真でしか見たことのない遺跡が目の前にある。 不思議な感じ。 ここはあきらさんの希望で来たけど、あきらさんもご満足の様子。 石室の中に入れることがわかったり、写真からじゃ絶対にわからない質感を感じたり。 今度こそ旅の目的を達成したわよね、あきらさん。
あきらと荷物を交換し、いじめられっこの気分を味わいつつ亀石まで歩いた。 建物の間にちらちらとお寺が見えるのどかな風景を堪能し、 田んぼには付きものの蛙も堪能し(涙)、 これまた写真でしか知らない亀石で記念写真。でかい石であった。 もうホントにバスがないので、てくてくと歩く。 「タクシーも通らないね」 「僕と歩くんだからいいでしょ」 「うん」 微妙に噛み合ってないけど幸せな会話を交わしつつ、 ちょっと道を間違えて着いた岡寺駅から奈良に向かう。 次の目的は燈花会だ。
パンフレットとかを見つつ効率よく回ろうとしても無理。 次に来るときのための下見くらいの気持ちで歩く。 そんなに広い地域じゃないし、見たいものは決まっているから、 次回は余裕で回れると思う。 でも奈良公園の辺りはそれだけで1日がかりだな。 燈花会の感じも掴めたし、東大寺の大仏さんの顔も遠くから見れた。 ライトアップされた建物や仏像のすごさも感じた。 次はいつになるかわからないけど、ここがメインだ! 夜にも人前をうろついている鹿におせんべいをやりそこねたし。
ちょっと遅い時間になってしまったけど、今日の最終目的地の難波へ向かう。 今夜はあきらと出会ったサイトで知り合った人の家にお泊まりするのだ。 オフ会で何度か会ったことがあるけど、 いまはみんなネットから離れているので、本当に久しぶりの再会。 「これってオフ会?」「オンで会ってるか?」「んじゃ同窓会?」 などと言いつつ、お酒を飲み、足裏マッサージにバタつき、 エアガンを撃ち(うっかり玉が入ってて壁に穴)、楽しく過ごした。 その席で、あきらは「ゴメンナサイの係」だと話したら、 家主のK嬢がほんっとーに切なそうな顔をしてあきらを見、 「わかりますわかります」を連発していた。 どうやらK嬢も「ゴメンナサイの係」らしい。 そうやって関係がうまく回るならそれでいいのよ。
ひとり暮らしの家に押し掛けたので布団などはなく、 床の上に毛布を敷いてもらったりしてみんなで寝た。 スペースの節約もあるし枕もないし、いつものことなので、 私はあきらに腕枕をしてもらい、抱きついて寝た。 あきらと仲のいい子に「いつもそうやって寝てるの?!」と叫ばれ 「そうだよ」と答えたら「げー」と言われた。 しょうがないじゃーん、私たちはこういうのが好きなんだから。 あきらは私が酔ってると思ったらしいが、別にべたべたしたつもりはない。 こういうのが普通になってるんだからしょうがない。 ま、そうやって寝ても家ではすぐに離れちゃうけど。 普段は寝返り打たないと死んじゃうんだもーん。 でもここでは枕もスペースもなかったので、 朝まであきらの腕枕でぐっすりでした。
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