月の輪通信 日々の想い
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2004年12月16日(木) 個人懇談あれこれ

昨日のアユコ、ゲンの個人懇談に引き続いて、今日はオニイの三者懇談。
先生との和やかな世間話で笑うことの出来る懇談やら、けんか覚悟でひそかに拳を固めていく懇談やら。
毎年の恒例ながら、そこそこ母もくたびれる。

で、オニイの三者懇談。
約束の時間の少し前に教室前に付くと、まだ前の親子が懇談中の様子。
「早すぎたかねぇ。」とオニイと話していたら、教室の中から「うるさいわ!」と外まで聞こえてくる男の子の大きな声。
「なんか、長引きそうだねぇ。」と、オニイと顔を見合わせる。
果たして、私達の懇談はとても予定時間には始まりそうに無かった。
どうやら、懇談の主はちょっとだけ顔みしりのA君。
いかつい体格にも似合わず人懐っこく、ちょっと甘えたような物言いが可愛い子だなぁという印象を持っていたのだけれど、相手が自分の親だとああいう激しい物言いになったりもするんだな。
オニイの話ではAくん、最近、答案用紙にわざと見当違いの答えを書いて叱られたりしていたという。学校とか親とかいろんなものに突っかかったり、抗ったりしたくなったりするお年頃なのだろう。
予定時間30分ばかり過ぎて、ようやくA君親子が教室を出てきた。
にゅっと背の高いAくんとそれよりずっと小柄な人のよさそうなお父さん。
「お、悪いな」とオニイにでもなく私にでもなく、ニッと笑って手を上げるAくん。変に悪ぶった様子もなくて、どちらかといえばあどけない素直な笑顔。
なぁんだ、こんなに立派な体格になってもまだまだ子どもじゃん。中学生の男の子って、まだまだこういう宇佐なさが残っているもんなんだなぁ。
ちょっとホッとした思いで入れ替わりに教室へ入る。

最近の体調や生活態度、定期試験の成績、宿題や小テストの提出状況など、先生からいろいろと報告を受ける。
1学期よりずっと体調も落ち着いて、遅ればせながら試験勉強の習慣も身についてきたこのごろのオニイを、親としては結構頑張っている方だと思っていたし、先生からも「ま、この調子で来学期に期待」という感じ。
それこそ「うるさい、黙れ」と声を荒げるような事もなく、穏やかな懇談内容。予定された15分の間に、長期欠席している友達の話や先日の校外学習のことまでニコニコと雑談して、退席してきた。

突拍子もない非行に走るわけでもなく、反抗して声を荒げるわけでもなく、親や先生の言葉にはい、はいと素直と頷き、悪い所を指摘されるとしゅんと項垂れる。机上に置かれた定期試験の成績の一覧を、恥じ入るようにぺらりと裏返す。
なんだかなぁ。
こんなもんかなぁ。
直前に聞いたA君の怒声のせいか、今日は妙にオニイの素直ないい子ぶりや自信なげなうな垂れぶりが気にかかる。
日頃の言動や振る舞いから、今のオニイがこの年齢ならではの矛盾や葛藤をたくさん抱えているだろうという事はよくわかる。大人を批判したり世の中の矛盾に憤ったり、そういうわらわらと燃える強い感情が多分オニイの中にも芽生え始めているに違いない。
けれどもその感情は弟や妹達への小言とか、ちょっと斜に構えたような皮肉な口調で発散するくらいで、激しく大人にぶつけるというような事はない。まだまだA君のようになや先生に対する気まぐれな怒声やたわいない反抗の形で表和してもいい年頃なのにと、少々物足りなく思ったりする。

生真面目で心優しい息子を持って、「物足りない」というとバチが当たるかもしれないけれど、どこかでオニイが自分の感情を激しく大人達にぶつけ、強い自己主張をする日のことを期待している自分に気付く。
よくも悪くも、子ども達はなかなか親の希望する通りには育っていかない。
ないものねだりは親の身勝手と銘じつつ、オニイとともに校門を出る。
母と並んで歩くのを恥じて、さっさと数メートル先を早足で帰っていくオニイのひょろりと伸びた華奢な背中を追いかけて歩く。
しっかり一人で歩け、オニイ。
明日は君の14歳の誕生日だね。


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