月の輪通信 日々の想い
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アプコ、幼稚園の生活発表会。 「絶対絶対、みにきてね。」といいながら、「何に出るかは、内緒よ」と嬉しそうに待っていた本番の日。 我が家で最後の発表会ということで、年末仕事に追われる父さんも仕事を中断して駆けつけた。 先生方の苦心の作の可愛いお衣装を身につけて、ピョンピョンと楽しげに踊るアプコ。 最後まで緊張して表情の硬かった昨年と違い、終始ニコニコと笑って演じる様子に父さんと二人、思わず頬が緩む。 忙しい年末仕事のさなか、楽しい思いをさせてもらった。
「ねぇねぇ、おかあさん、空と空はつながっているし、道と道はつながっているけど、夢はつながらないよねぇ。おんなじ夢は見ないもんね。」 そういえばこの間、アプコがまた禅問答のような質問をした。 演目の最後は、年長クラスの合奏と合唱。年長さんの合唱には、いつも結構難しい「泣かせる」曲が用意されるのだが、今年は「君と僕のラララ」という曲が選ばれた。アプコはこの曲が痛く気に入ったらしく、家でもしょっちゅう調子っぱずれの鼻歌で歌っていたりする。 はじめ、その質問の意味がちっとも意味が分からなかったんだけれど、どうもこの歌の歌詞の事を言っていたらしい。
「夢っていうのはね、夜、寝てるときに見る夢だけじゃなくてね、『大きくなったらこんな人になりたいなぁ』とか『こんな事やって見たいなぁ』とか思い浮かべる事も夢っていうんだよ。」 噛み砕いた言葉で説明すると、アプコ、初めて聞くような「へぇー」という表情。おしゃべりも得意になって、毎日ひっきりなしに新しい言葉を覚えてくるアプコだけれど、結構はっきりした意味や使い方が判らないまま、聞き流したり類推したりしている言葉がある。大人からすれば当然知っているものとして使っている言葉が、意外と子どもにとっては未知の言葉なのだなぁと驚いた。 「この歌、なんか、いいねん」 園でお友達と何度も何度も練習し、鼻歌にまで出てくるようになったこの曲を、アプコはとても好きだという。 「夢」という言葉ももう一つの意味を知らなくても、アプコにはこの歌に流れる暖かい気持ちや希望の想いがなんとなく伝わっているのだろう。 友達と声を合わせて歌った歌を通して、「夢」という言葉を獲得するアプコを幸せに思う。
幼稚園の玄関脇には出入りの業者さんたちが宣伝のために並べた色とりどりのランドセル。 「この色のがいいの。赤いのにしてね。」と何度も念を押すアプコに、 「あらそうなの?おかあさんは黄色か青のがいいと思って探してるんだけど・・・。」とわざと意地悪を言ってからかってみる。 「あかん、あかん。黄色のなんてないよ。青は男の子色だし・・・」と切り返すアプコは大真面目。 うそだよ、うそだよ。 お母さんだって、アプコが真新しい赤いランドセルを背負って学校へ行く日をずっと夢見ていたんだよ。アプコが生まれるずっと前からね。 アプコの夢とお母さんの夢、ちゃんとつながっているんだね。
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