Food for Thought
DiaryINDEXpastwill


2007年07月06日(金) 講師サイドが語るNOVAの実態

[注] 英会話学校に通っていて、それなりに満足している人は読むべからず。語学学習にモチベーションは非常に大事だから。


NOVAで外国人講師を経験した人たちの客観的と思われる意見をまとめてみると:


日本に興味がある英語圏の人にとって、ビザ、住居、安定収入を提供してくれるNOVAは日本入門にうってつけである。
まず、NOVAは利益が主目的である巨大な企業だということを理解しなくてはいけない。NOVAは、外国人が日本体験する機会と引き換えに、ネイティブスピーカーが稼ぎだすお金を得る。

大卒のネイティブなら、専攻に関係なく誰でも採用される。来日すると、まず「NOVAのアパート」に案内される。自分の収入から考えれば妥当な家賃だが、他の民間の物件に比べるとかなり割高だ。外国人にとってはちょっと大変だが、落ち着いたら自分で部屋を探して移った方がいい。

来日すると、4日間の日本に慣れる「猶予期間」の後3日間のトレーニングが始まる。それだけではまだ準備不足で不安だが、あとは実践を通じて覚えていくしかない。

NOVAでは受講生ひとりひとりに気を配っているわけではない。が、方法としてはかなり効果があり、受講生は目覚しく上達してくる。

テキストの内容は古いし、繰り返しやっている講師はそのうち退屈になってくる。受講生は好きな時間に予約を入れ、固定的なクラスはないので、毎回よく知っている顔とはじめてみる人が混じった状況になる(レベル別)。

給料は大手英会話学校ならどこも大体同じで、月25万くらい。十分日本で快適に暮らしていける。勤務は週40時間で、2日連続休み。土日はいちばん需要があるので、両方は休めない。シフトは10:00からと1:20からのふたつ。ほとんどの講師は受講生の多い遅番で、夜9:00にあがる。祭日は休みではない。6ヶ月以上いると、有給が2週間もらえる。

クラス外で受講生と交流するのは禁じられている。世界中から来た他の講師と知り合うのもいい経験だ。オーストラリア、イギリス、カナダ人が多い。

勤務地の希望をきかれたら、大都会をはずした中間くらいの場所で、小さい学校の方がいい。大規模校のボスは社内での出世を目指している人が多いので、杓子定規でやりにくかったりする。

日本に来た外国人は3つのステージを経る。

・ステージ1:ユーフォリア(いわゆるハイ)。すべてが新しくエキサイティング。スーパーでの買い物も冒険だ。
・ステージ2:落ち込み。というか、ステージ1の反動。このステージは短いが、結構強烈。
・ステージ3:受容。そのうちまわりの環境に慣れていく。

講師経験から他の仕事、例えば国際的なビジネスや外交にステップアップできるなんて思ってはいけない。正直、何のキャリアにもならない。

ネットにはNOVAの悪い話がいっぱいだ。「まるで工場」「利益至上主義」など。「とにかくNOVAで働くのはやめろ」というのが大多数。だが、こういうコメントは何か個人的な恨みがある人が書いていることが多く、中立的な意見ではない。新人講師の多くが会社勤めの経験がなかったりする。

当然、普通の受講生から経済指標や、医療研究や、中東情勢についてのディスカッションなどは期待できず、せいぜいスポーツや、歌手や、ハリウッド映画について話すことになる。あっちこっちのクラスでブラピの最新映画についてばかり話すのは結構ツライ。下のレベルになると話題が40分間「好きな食べもの」だったりする。1日の終わりにはとにかく知的刺激に飢えている状態。

閉所恐怖症の人には向かない。毎回狭いブースでのレッスンに耐えられないだろう。対人スキルを磨くのには最適。人と話すのが上手くなる。

たぶん、1年契約した講師のうち半分以上は満了前にやめる。でも3・4年や6年教えている人も結構いる。最長で13年という人もいた。
ただ、ずっと働くようなところではない。給料がそんなに上がるわけではないし、勤続年数で評価が上がるわけでもない。マネージャーにとっては6年選手も6ヶ月の人と同じ。



NOVA及びAEON、GEOS、Berlitzなどの大手英会話学校の外国人講師は、ワーキングホリデーのような形で日本に来ていると考えると分かりやすい。いわば、「日本って面白そうだし、一度行ってみたい」という、フリーター達のためのプログラムだ。採用の敷居が一番低いのがNOVA。
素人なので教授法も何もわかっちゃいないが、なぜかそれなりに上手くいく。日本人の妄想で、欧米人と英語に対して憧れをもっているのがいい緊張感をもたらし、モチベーションを与えるからだ。NOVAはその舞台装置を用意する。成果の大部分は受講生に負うところが大きいので、やっぱり授業料は払いすぎでしょう。


例えば、逆の立場で考えてみよう。「なんとなくアメリカに行ってみたい」という日本人のフリーターが、「日本語のネイティブ募集!経験不問」という新聞広告を見て応募する。即採用。別に一言もアメリカ語をしゃべれなくてもいい。「ネイティブの日本人」ということで、数日の研修だけで、アメリカ人相手に日本語を教える。ありえない…



好意的な目で見れば、外国人に日本に来てもらって、日本好きになってもらうのには役立っているかもしれない。受講生の負担でね…


参考サイト(英語):
The Unbiased Truth About Nova
Working at Nova: My experience
A guide for those considering teaching English for Nova in Japan


駿馬 |MAIL

My追加