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2006年06月14日(水) 中沢新一『アースダイバー』

中沢新一『アースダイバー』を読み始める。「?!」と思うところがあったり、論理が飛躍するというか、はっきりいえばロジカルではない。眉に唾つけて読んだ方がいいかも。

例えば、

「権力を手に入れた人たちは、生きている者たちのつくるふつうの世界から超越していなければならない、と感じるものである。そのためにどうしても、生をこえた領域である死に触れていくことになる。権力者は死とまぐわっていなければ、いったん手に入れた権力を、保ち続けることはできない。メディアの権力もそうである。こちらは、目に見えない 電波を媒介にした権力であるから、人々の無意識に霊界とのつながりを連想させる。こうして、現世的なパワーと結びついたスポットは、知らず知らずのうちに死の領域に接近していくことになったのだろう。こうしてメディア権力の象徴たるテレビ塔は、岬状をしたかつての「サッ」の土地の上に、そろいもそろって建てられてきたのだった。」 (第3章 死と森 渋谷〜明治神宮 p61)

だからといって全くダメなのではない。実は結構面白い。

以前中沢新一の『人類最古の哲学―カイエ・ソバージュ〈1〉 』を読んで非常にインスパイアされ、神話に興味を持つきっかけとなった。

「そもそも中沢新一は、多様な知識を組み合わせた思想の流れをナラティブに仕立てられるという才能の持ち主」
(松岡正剛の千夜千冊)と評されているように、とにかくグイグイ読ませる力がある。

本にあたかもファクトのように書かれていることでも、確認した方がいいと部分もある。それでも、人に考える動機を与えることのできるというところに存在価値があるのではないか。


駿馬 |MAIL

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