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2005年08月20日(土) 化け物はまだ生きている

『あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書』保阪正康を読了。

「太平洋戦争を正邪で見るのではなく、この戦争のプロセスにひそんでいるこの国の体質を問い、私達の社会観、人生観の不透明な部分に切りこんでみようというのが本書を著した理由である。あの戦争のなかに、私たちの国に欠けているものの何かがそのまま凝縮されている。…その何かは…今なお現実の姿として指摘できるのではないか。」とあとがきにある。

最近、やはり日本という国はかなり異質であると思えてきた。まるで得体の知れない化け物のようで、恐ろしいほどである。その特徴は、異常に同調しやすい国民性と、全体主義的傾向である。

保阪氏も、「日本国中がただひたすら一つの方向に、団結して向かって」いき、「並外れた、視野狭窄ともいえる"集中力"を生みだしていた…その"集中力"とは何だったのか―。」と書いている。

平和教育はもちろん大切であるが、それがなかったから日本は無謀な戦争に突入したのか。簡単に同調し、暴走しやすい性質が問題なのではないか。

今年は戦後60年ということからか、再び太平洋戦争を見直す雰囲気が各方面に感じられる。反省しながらも、思考停止に陥らぬよう、考え続けなければ。
 
ちなみに、8月15日が「終戦記念日」と言っているのは日本くらいで、世界の教科書はみな9月2日に第二次世界大戦終了とあるそうだ。


駿馬 |MAIL

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