2014年05月11日(日) |
阿部共実新刊2冊+別チャン6月号感想 |
「ブラックギャラクシー6」と「ちーちゃんはちょっと足りない」感想。 とらのあなで注文していた「ブラックギャラクシー6」と「ちーちゃんはちょっと足りない」、昨日無事届きました。 てっきりメール便で来るかと思ってたけど、宅急便でした。ちーちゃんが予想以上分厚くてな……。特典のファイルも大きかったし、メール便を望むのがハナから間違いだったらしい。 それはさておき、久々のあべとも新刊、どちらも良かったです。 ブラックギャラクシー6は雑誌で連載を読んでいたけど、描き下ろしがめちゃくちゃ多くて読み応えがありました。ブラックギャラクシー6は、見事に気楽に読めるマンガでいいわー好きだわー。 一方ちーちゃんは、1話以外は単行本待ち。1話を読んだ時はブラックギャラクシー6とは傾向が違う気楽系マンガなのかとばかり思ってましたが、えらい方向に向かっていくということは小耳に挟んでおりました。 読んだら想像以上にえらい方向に進んでました……。Twitterでも書いたことですが、「呼吸を奪われる」と表現したくなる作品でした。読み終えた時、嗚咽と胸苦しさでまともに息をつくことが出来なくなってました。あと、37度7分の熱が出た。子供の頃なら微熱の範囲だけど、今の私には結構な高熱……。 構成が巧みで緻密で、どこまで最初から考えて作られたんだろうと感心しながらも、感嘆のため息をつこうとすると喉が詰まって息が出来ない。そんな感じ。 まず1話。 この回は単純にオツムの足りないちーちゃんの奇行がひたすら目立つ。ちーちゃんの手の届かない高さにカバンを置いたお姉ちゃんも、小学生レベルだけれどちーちゃんには解けない問題を出す旭も意地が悪そうに見える。でも通して読んだ後だと「ちゃんと片づけしないから」という志恵の台詞から、片づけの関係で置いただけで嫌がらせの意図はなかったんだろうと思えてくるし、旭についてもナツの指摘どおりにちーちゃんの学力向上のためのものと分かる。登下校も昼食もちーちゃん・ナツ・旭の三人で、そこが「友達」の範囲として描かれている。 2話。 奥島くんや如月さんが登場し、ちーちゃんの交友関係が1話の三人にはまっていないことが描かれている回。この話はまだそんなに重くはない……と思う。ナツの卑屈な部分もちょいちょい出てきてるけど、ちーちゃんに告白できてるあたり、そこまで深刻でもない感じ。 でも、ナツがナチュラルにちーちゃんを下に見てるのも伝わる描写が多いんだよね、この回……。奥島くんと如月さんは良い雰囲気だと自分は分かる(と少なくともナツ本人は思っている)、でもちーちゃんは足りないから分かってない(これもあくまでナツの判断)。奥島くんたちがちーちゃんの勉強を見ようとする時、保護者のような顔をして「私もつきあう」と悪く言えば「しゃしゃり出る」。ちーちゃんは恋人たちの邪魔にならないけど自分は邪魔になると考えている……。悪気なく上からなんだよなあ。「私たち子どもなんだね」と笑っているけれど、自分より更に子供なちーちゃんの存在に安心している様子も感じられる。 志恵のファッション誌が買ったものではなく友達から貰ったものということで、ちーちゃん個人のではなく南山家全体の経済状況も浮かび上がってくる。 3話。 意地悪姉さんかと思えた志恵がちーちゃんのことを愛しているのが細々と伝わってくる回。肌寒いからと服を羽織らせようとするのも、ちーちゃんの体力を案じて休憩するのも、ちーちゃんの駄々に負けてがちゃがちゃさせちゃうのも。 タイトルの「足りない」の意味がオツムに限らないと分かってみると、志恵にも「足りない」ものはいくつもあるという話でもある。エレベーターに入っていった恋人たちは志恵ちゃんの好きな男子なんだろうと予想されるし、いいなと思った服も高くて手が出せない。「靴くらいで」という言葉は欲しいものが手に入らない自分に言い聞かせる言葉のようにも見える。 そんな志恵だけど、予算を超えてもちーちゃんが欲しがる靴を買ってあげたいと思うように、ちーちゃんへの愛は足りないどころか満ちているんだよね。 ちーちゃんの新しい靴にナツが気づかないのは、後の展開でナツのリボンに誰も反応しないことの伏線にもなっている。新しいお気に入りのものを身につけても、周りはそれほど見ちゃいないんだよ……。 4話。 この辺りから不穏さが増していく(汗)。というか、ナツの卑屈さが露になってくる。辛い……。 旭の付き合いが悪くなったのは彼氏が出来たから。GWに遊べなかったのは海外へ行っていたから。どちらもナツにとっては羨望の対象。ナツが一人で線引きしちゃってるように見えるけど、旭も結局は恋人が出来たことをナツに教えてないことを思うと、その程度の付き合いとしか思ってない可能性もあるんだよな。旅行の話もしてなかったし、お土産も忘れずに渡したい相手ではないということだし。ちーちゃんについては本気で怒ってくれている。でも、ナツについては……。妥協で付き合っていたというのも、ナツに何も期待していないというのも、ナツのただの思い込みとも言えないんですよね。 2話ではカバンについてなくて4話からはつけてるリボンは、水沢先輩が渡したものなんだろうな。ナツはリボンに気づいてるんだろうか。気づいたにしても、それについて触れないナツに自分のリボンに触れないクラスメイトたちを責める資格はあるんだろうか。もしここでリボンについて旭に問いかけていたら、旭から直接彼氏のことを教えてもらえたんだろうか。とにもかくにも本当に息苦しい。 それでも、最後の5ページで息苦しさは薄れるんだけどな……。欲しいものを口に出せないナツにとって、何も言わなくても差し出してくれるちーちゃんは救い主だというのは、出会った頃から変わらないことなんだと思う。 この回の藤岡はナツ視点のせいで普通に怖い子に見えるなあ。万引き発言も確かに冗談に聞こえない(汗)。 5話。 どん底どーん。「世界で一番美しい2人」から「世界で一番美しくない2人」への転落である。辛い。 ナツが奥島くんと如月さんを買ってるように、志恵はナツを買ってくれている。でもって、ちーちゃんの中でもナツの位置付けは本当に高いんだと思う。でも、この時点でのナツにとっては、ちーちゃんは消去法で付き合ってる友達でしかないんじゃないかな。旭が自分たちとは消去法で付き合っていると考えちゃうような子なので。 旭が宮沢達に悪く言われてもごまかして逃げようとすることしか出来ない。ちーちゃんが疑われた時も「違う」という思いを口にすることは出来ない。ナツのそんな部分は、それでも大抵の人は身に覚えのあるものだと思うんだ……。水沢先輩のことを知らなかったふりをしたのも、お金を貯めるためおごれないと言った矢先に旭の機嫌を取ろうとジュースをおごろうとするのも、どちらも旭の癇にさわっただろうけど、普通にやっちゃうだろってことだと思うんだ。 でも、ちーちゃんのお金を受け取ったことは、絶対にやっちゃいけないことだった。それが宮沢達のお金だと薄々気づいていたなら余計に。気づいてなくても受け取っちゃいけないお金だよ。 ちーちゃんは本当にこれが恩返しになると無心に信じているのも辛い……。 藤岡、旭が暴力を振るったという言葉に反応しているけれど(まあ確かに事実だ)、「お金が誰かに盗まれて」と聞いたら優先事項をさっと切り替えたのがすごいしかっこいい。誰かが盗んだと疑うより落とした可能性を先に考えるのも良い子だと思う。 6話。 ナツに父親がいないのは死別か離別かは分からないけれども、「お父さんがいた頃」から貧しかったことが描かれてる回。 きつすぎて細かく感想書く気が早失せるぜ……。 ナツが休んだことで昼食面子に奥島くんと如月さんが加わったけど、二人を「いい人だなあ」と評価していたナツが自分とちーちゃんという底辺と関わって恥ずかしくないのかという二重に失礼なこと考えてるのがもう辛い。素直に交友の広がりを喜べない子なんだってのがどんどん表立ってくる。誰かを悪く思うことでしか自分を保てない。 ナツがさるぼぼ人形買ってもらったのが小3の時。ちーちゃんがはまっている女児向けアニメの対象は藤岡の小3の妹あたりってことで、ちーちゃんの現状は小3ライン。駄々のこね方も小3ナツと中2ちーちゃんはよく似ている。 7話。 ナツ絡み以外は超良い話。 ちーちゃんのために本気で怒ってくれる旭。ちーちゃんの盗みを責めながらも悪気がないことも分かるから諭してくれる奥島くんと如月さん。藤岡の優しさを主張する宮沢たち。ちーちゃんの宝物を奪うふりをすることで盗みの悪さをつきつけ、足りないものは「ちょっと」だと教えてくれる藤岡。 本当に、ナツ絡み以外はすごく良い話なんだ。妹の面倒を見ている藤岡も、勉強に励みながらもちーちゃんのことを考えている志恵も、すごく優しいお姉さんのひたすら温かい描写なんだ。 ナツだけが、辛い。ナツが人を避けずにカバンを取りにいっていれば、ちーちゃん叱責の現場に出くわして謝罪のチャンスを得られたかもしれない。旭がリボンについて尋ねた時に白状することもできたかもしれない。ナツはどちらもせずに、むしろ秘密をばらしたちーちゃんを心の中で責め始めた。自分の中の自分をどんどん落としながら。 旭と女バスメンバーの和解を知らずに藤岡を下げまくったことも、タイミング悪すぎる……。旭の中のナツ評価もだだ下がるよこれ……。でも、そもそもナツのために本気で怒ろうとはしてくれないんだよな、旭。 ちーちゃんが声に出して叫んだ「もっといっぱい欲しい」「何もない」という嘆きを、ナツは前回心の中で叫び続けていたのに、誰も「ちょっと足りなくたって楽しんで生きていける」と言ってはくれない。むしろ言ってもらえたとしても、それを見下しと受け止めそうだ。 8話。 219ページがなければハッピーエンドだと思う。 でも219ページのせいでアンハッピーエンドにしか見えない。 旭からの連絡を待つだけじゃなく自分から連絡を取ろうとしない消極さ。その癖旭が仲が悪いと思ってた子達とつるむ姿を見たら捨てられたと考えちゃう卑屈さ。自分でそれを自覚しながら、自覚しているという部分に甘えて変わろうとはしない。 そんなナツにとって、ちーちゃんは、無条件の味方なんだよね。色んなものが足りなくても楽しく生きていけると思わせてくれる存在。 ……でも、本当だったら「欲しいもの」が手に入ったかもしれない機会を、ナツは全部捨てちゃってるんだよ……。219ページさえなければ捨てないかもと思えるのに、219ページのせいで捨てちゃうんだとしか思えなくなる。 8話だけでもやり直す機会がいくつかあるのに。母のくれた1000円を藤岡たちに返す選択、旭たちが遊ぶ姿を見かけた時に声をかける選択、旭に電話をした時にちーちゃんの行方不明を伝える選択。実際にそれで旭との仲が修復されるとも限らないけど、ひょっとしたら何か変わっていたかもしれないのに……。 のみならず、ちーちゃんから藤岡にお金を返すことや旭と遊ぶ選択を取り上げてるのがもう辛い。変わろうとしているちーちゃんの変わってほしくない部分が「ずっと友達」の部分だけならまだいいけれど、その他の部分も変わってほしくないんだろうなと思わせるのが辛い。二人で底辺にいよう宣言みたいで辛い。 219ページがなければ、広い未来が待っていたかもしれないのに。
* ここからは別チャン6月号の感想です。
次号予告カラーページ 「最強の不良たちの最高の物語」がおおむねデフテロスの上に載ってるせいでデフが最強の不良に見えちゃうのは勘弁してくれ。
みつどもえ 今月、着せ替えカバー付録も可愛いし、カラー扉も可愛いし、マンガも二本とも可愛いしでたまらん。 Twitterで小1女児コンビ描いてたのって今回の話に出てくるからだよね。メグちゃんは見た目可愛いけどガチレンsageは良くない。……けど小1だと思うとまあそんなもんだよねと言わざるをえない。龍太が大人すぎる。長女さんはもう少し大人になった方がいい(笑)。好きなものをけなされてむきになるのはオタクとしてはごく自然な行動ではあるけども。 二本目は、SSS隊かと思ったら最後の最後にしんふたでした。最後のページ4コマ目でふたばが胸を隠してるのが可愛すぎて……。気にせず裸でおっかけるくらいの子かと思ってたけど、そこはちゃんと羞恥心があるんだってのが……! あとおがちんが結局ノーパン継続中だとアオリで明らかに。
魔法少女OTE みうみうは変態度低い方がいい女に見えるぞ。どっちにしても年齢のせいで警官の守備範囲外のようだけど(´・ω・`)。
オレたちに愛をくれ 川本が西野好きなのが丸分かりで可愛いな。あべともは疲弊させる話もこういうさっぱり楽しめる話も好きです。
少年Y 少女Y参戦。山崎用ヒロインだったのか、柚希……。
やさい学園 そう言えば白菜とリンゴのマヨネーズ和えが子供の頃苦手でした。それはそれとしてリンゴの気持ちが白菜に届くといいですね。キャベ子よりは何とかなりそう。
9デイズワンダー 桃子先生が気を失ってる間に部長がどんどんフラグ立ててってる気がするぞよ。 桃子先生が部長を助けようとする場面が好きだなあ。かっこいい。
こんかつちゅう 恋窪ママ美人。恋窪は父親似なのか?
スピーシーズドメイン 抱えボムじゃなく抱え落ちだとやたら喚いている人を見かけていたけれど、逆手に取ったかのようにネタにしてきたな……。 あ、単行本化決定万歳。買います。
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