レガシィ発売おめでとうございます。 秋田書店がとうとう私にPSPをくれなかったので、結局予約もしないでこの日を迎えてしまいました。 当てた覚えもないのに当たってた懸賞品なら今日ポストに入ってたので、ロスキャン単行本の広告載ってるチラシだけ大事にして、本体は持て余そうと思います……。くじ運いいんだか悪いんだか。
* 双子座の聖衣が涙を流さなかったロストキャンバス159話感想。とんだ予告サギなんだぜ。
どうしよう、すげえ好きだ。 アスプロスが好きで、デフテロスが好きで、アスデフが好きでデフアスが好きです。 んでもって、問題あるくらいデフテロスがアスプロス好きで、なんだかんだでアスプロスもデフテロス好きでしたね。デフテロスの空振り片思いじゃなく、見事なすれ違い片思いにしか見えなんだ(苦笑)。(腐的意味に限らず) 18巻発売、マジで楽しみです。コミックス見てると、白紙ページの遊び紙的活用?もあるので、実際どうなるかは分からないのですが、本文ページが15巻より2ページ分多いみたいなので、扉絵+センターカラーページの裏+あとがきに加えて分解装着図が一件見れるか見れないかってことになるのかな。新ベヌウか新ワイバーンくらいしか残ってないような気もするけれど。 最初の一話は童虎VS輝火だけど、正直描き下ろし系全部双子でいいですって思えたくらい、二人が好きです。童虎も輝火も好きだけど、見事なくらいに双子巻だから、双子尽くしの一冊にしてほしいのですよー。だって、輝火と童虎はこの先も出番あるけれど、双子はもう、二人でというのは望めないんだもの。決着ついたから。 双子対決は、予想や解釈を裏切りまくりの展開をしてくれて、毎週毎週次の回が本当に待ち遠しかったです。 159話を読んで、色々なことがすとんと落ちたつもりでいるのですが、これもまた読み違いで次回「きゃー」と思うことになるかもしれない。それでも、とりあえず、今読んで「なるほどこうだったんだ!」と思う感想を並べるだけ並べておこうかと。
まず、思っていたのと違っていたことその1について。 いやもう……絶対デフテロスが勝者になるんだと思ってました。 ロスキャンの双子はあくまでデフテロスという意識でいたので、デフの押し切り勝ちか相討ちを期待していたんですよね。アスプロスの幻朧魔皇拳解除展開も、あったとしても相討ちの末、最期の瞬間くらいにやっと……くらいのものになるかと思ってたんです。なので、この結末は本当に驚きました。デフテロスがアスプロスをいろいろな意味で乗り越えて終わるものとばかり。 でも、違った……。この回で視点をアスプロスに持っていき、アスプロス側の心情を描いた上で、そのままアスプロスの物語に繋げてきた。 やられたーと思いました。心情描写なしの152話やデフテロス視点に限った153話以降で描かれていたアスプロスの言動の裏にあったものが、今回の話一つで説明された。そうしてアスプロス側の理由が分かってしまうと、流れとしてアスプロスが残ったことがとても自然に思えたんです。これまでもアスプロス好きだったけど、もっと好きになりました。とてもじゃないけど、嫌いになれないよ、この人。うまいことアスプロスを主役配置に移行させたなあ、と妙に感心もしちゃいました。(うんまあ、主人公はテンマなんですけどね……)
で、思っていたのと違っていたことその2について。 そりゃもう、いっぱいいろいろ思ってたのと違うことだらけなのですが、とりあえず23日の日記でちょっと語ってたことについて。 アスプロスは、教皇の座につきたいがために、デフテロスにとってかわられることを恐れていたのかと思っていたんですよ。それで、教皇の道に続く黄金聖闘士の立場に自分を置き、デフを影の立場に押し込めていたのかと。で、この人が教皇になりたいのは弟のためじゃなかったのか、目的が形骸化しちゃってるじゃないか……とやきもきしちゃってたわけです。 でも、逆だったんですね。デフテロスに成り代られたくなくて、教皇の座を目指していたんだ、アスプロスは。「教皇」はデフテロスの届かない場所であり、最後の砦。かなり初期から、「教皇になる」というのは弟のためより自分のためという理由が強かった。 デフテロスにしてみれば、アスプロスの頑張りだけで十分に価値があると思えたけど、アスプロスにとっては教皇になれなければ意味がなかった。教皇の座への固執は、ちゃんと筋のあるものだったんですね。
シジフォスたちの存在を壁に感じていたのかとも思ってましたが、アスプロスにとっては立ちはだかるものより、追ってくるものがいちばんのプレッシャーだったという。 周りの候補生が驚嘆の目で見るアスプロスの成長にも、デフテロスはものともせずに追いついてくる。もちろん、実際にはアスプロス自身が認めるように「必死に拳を磨いていた」からこその結果だけれど、指導を受け、皆の内で修行をしているのは自分なのに、その様子を「眺めて」いるだけで直接指導を受けていないデフテロスが自分と劣らない力をつけていく。しかもデフテロスは影に徹しようとしていただけに、自らの努力を兄にも明かしてなかったっぽい(気づかれてはいたけど)。それこそ、こっそりと自分自身をコピーされているような空恐ろしさを覚えてもやむないような気がしてくるよ……。 自分を眺めていても、隠れて修行していても、デフテロスが自分より劣った能力しか持っていなかったら、アスプロスはあんなにも弟の目を恐れることにはならなかったろうに。微笑ましい思いではとてもいられず、焦りや不安が増していく十数年って、なんだか怖い。半生ずっとそんな思いから逃げられず、それでも表立っては人格者を演じきっていたアスプロスは、なんだかんだですごい人だと思う……。
そう言えば、これも思い違いだったのですが、デフテロスの小宇宙や技って、特にアスプロスが指導していたわけでもなく、自力で見につけたものだったんですね。デフテロスは、ある種天才な気がするよ(汗)。 元々「二人に違いはない」と言い切っていたアスプロスだからこそ、デフテロスの力を認めることができ、それでいてデフテロスを「影」と見るようになっていたから、恐れる気持ちがわいたとも言える。本当にアスプロスは「俺が強くなる」「俺が進んでいく」と思っていて、二人で何とかしようと思っていたわけではなかったんですね。もし、二人で何とかしようとしていたら、共に磨きあうことで、あんな風に弟を忌むことにはならなかったんじゃなかろうか。
153話のデフテロス視点だと、影から見守るデフテロスに対して兄は優しい笑顔で振り向いていたけれど、アスプロス視点だと背後からの視線に対してあんなどろどろした疑いの気持ちがあったとは……。マスク持つ手が違うので、あんな場面は何度もあったということで? それでも表面的には優しい態度を崩さなかったんだよな、アスプロス。だからよけい、デフテロスは兄の歪みに気づけずに、影の立場でいいという決意も明かさずにいたんじゃなかろうか。 もっとも、デフテロスが影でいいという気持ちを正直に伝えていたとしても、一度怪しみだしたアスプロスは疑念に満ちた思いで受け取るのかもしれない。 信じすぎて真実が見えなくなっていたデフテロスと、疑いすぎて真実が見えなくなっていたアスプロス。この兄弟のあり方は、どうにも切ないです。目に映るのはお互いばかりで、二人の世界に閉じすぎてたのがいけなかったのかと。
アスプロスが、どこかでデフテロスを突き放していれば、兄の内にある影をデフテロスも気づくことができたのかもしれない。だけどアスプロスはそうせずに、デフテロスの優しい兄であり続けた。突き放せなかったのは、突き放した途端に裏切られることを恐れていたのかなと思いつつ、一方でやっぱりそれでも弟のこと好きだったからじゃないかと思う。だって、本当にデフテロスのこと憎んでいたなら、最後にあんな顔にならないよ……。 教皇になれれば、弟の届かない自分だけの自分になれる。デフテロスを表に出してもやれる。アスプロスにとっては、そこでやっと「子供の頃以来の穏やかさ」でデフテロスの視線を受け、心からの笑みを返すことができると根っこでは思っていたんじゃ。 とはいえ、教皇になったらなったで、またぞろ別の理由から弟怖いになってたかもと思わなくもないのですが(苦笑)。
思っていたのと違っていたことその3について。 なんだかんだでアスプロスの方がデフテロスより強かったー。 もうね、本当にデフテロスの方がアスプロスより強いのかと思ってたですよ。そこは兄の面目躍如だったですよ。確かに、ここにきてやっぱりデフテロスの方がアスプロスより強かった、という展開では、なんも救いがないですもんね(汗)。 結局、アスプロスが本当に望んでいたのは、教皇の座ではなく、デフテロスがコピーできない自分だけの自分だった。GE使え使えと誘ってきたのも、同じ技をぶつけ合ってデフテロスに勝ちたかったからかと思えてくる。 アスプロスを幻朧魔皇拳による縛りから解き放ったのは、デフテロスの死だけではなく、デフテロスの一撃より自分の一撃が勝っていたこともきっかけとなったのではないかな。だから、私は、デフテロスはわざと負けたのではなく、渾身の一撃をぶつけたのだと思ってます。「俺の一撃はお前の芯を貫いた」という台詞は、そういう意味なんじゃないのかなあ。次回、「何故わざと負けたのだ!」的展開がくるかもしれませんが、少なくとも今の時点ではそう思ってます。 あ、でも、幻朧魔皇拳解除の何か特別技をこっそり放っていたとか、そういう可能性もゼロじゃないのか(汗)。いやいや、やっぱここはGE対決のアスプロス押し切り勝ち、ということでお願いします。デフテロスの死で解けている方がロマンです……。
アスプロスの黒髪が元に戻る場面、憑き物が落ちたような印象を受けるんですよね。疑心が曇らせていた視界が一気に晴れた、そんな感じ。 デフテロスはけして自分の立ち位置を危うくするものではなかった。デフテロスの瞳に宿るものは負の想いではなく、兄スキーな眩しい思い。そりゃ、多少の引け目は含まれていたかもしれないけれど、アスプロスが恐れていたようなマイナスのものじゃなかった。十数年、アスプロスにとっては本当に「長かった争い」だった。でも、それはアスプロス一人の争いでしかなかった……。 アスプロスは、教皇の座の時と同様、既に手の中にあった大切なものを自分で放り捨ててしまったんですよね……。最後の「あの目も 長かった争いももうない…」というモノローグが、本当に切なくて。自分が望んで壊したはずのものなのに、いざ無くなって、初めて本当は壊したくなかったことに気がついたような……。いや、ちょっと違うか……。とにかく、あの呆然とした表情が、目の前の現実に取り残されたような感じで、見てて胸が痛いです。 もうほんと、どっかもっと前のタイミングで止めてやってくれる人はいなかったものか。 ロスキャンだともはやお約束の、涙じゃないものが涙に見える描写がまた効いてるんだこれが……。
幻朧魔皇拳解除、もう一つ、デフテロスが暗い部分を持つ自分をも「兄」と認めたことも原因になったような気もします。デフテロス側だけじゃなく、アスプロス側にとっても。 サガは自分の暗い部分を認めがたくて黒人格が生まれていたけど、LC双子はデフテロスがアスプロスの暗い部分を認められなかったんですよね。そうやって見ないようにしていたものに目をやってくれたのは、そしてそこも含めて認めてくれたのは、実は大事なことだったんじゃないのかなあと。 決着がつく直前、デフテロスは再び「兄さん」と呼びかけるんですよね。あれがすごく好きで。 一片の情も残す必要はないと切って捨てようとしていたデフテロスなのに、どうしても兄への想いは捨てきれなかったんだなあ。そして、アスプロスの「今の兄も昔の兄も同じ」という現実を認めた。光だけじゃない兄を見た。そうなると、目の前の大暴れ中の兄もまた、影だけの人ではないとも言えるわけで。 そこで、デフテロスは、ブラコン全開で兄を救う方向に向かったんじゃないのかな。でも、それは手を抜く形ではなく、本気でぶつかる形であってほしいんですよね、私としては。なので、「負けてやろう」ではなく、「負けてもいい」と思ってたなら嬉しい。最後に残るのが自分であってももちろん構わない、だけど兄となっても構わない。かつてのデフテロスに見えてなかった部分まで含めて、兄を信じたから、選べた結果なんじゃないかな。 アスプロスはデフテロスがいては自分の輪郭を保つことが出来ない。逆にデフテロスは、ずっと兄の存在があって自分の輪郭を保つことが出来ていた。けど、本当の意味で「自分」を持てたのは、兄を失ってから。どちらかが消え去るまで脅かしあうというアスプロスの言葉は、デフテロスにも頷けるものがあったんじゃなかろうか。でも、アスプロスと違ってデフテロスは、「自分が消える」選択肢も見えたんだと思う。
喧嘩鬼として登場した時は、デフテロスがあんなに穏やかな笑みを浮かべて退場することになるとは思いませんでした。 141話の決起の回を見てもそう。人を助けて自分が散ったシジフォスのことを理解できないと言っていたから、もっと傍若無人な戦い方をするかと思っていたのに。 ああ、でもそうか……。デフテロスにとっての「全う」って、どこまでも兄のために戦うことだったのか。元々、兄を元に戻すという意識はなくても、兄を止めるために戦っていたんだし。 多数の弱者をいかして散ったシジフォスとは、確かに真逆の考え方だなあ。たった一人の強い兄のために戦い命を終えるというのは(苦笑)。 でも、アスプロスは本来死者なんだし、ほっといても先は長くない……よね。助けても、ハーデスが用無しと決めたらすぐ命とられたりしない? それでも、ギリギリまで聖域側として戦おうとしてくれるのかなあ……。 アスプはもう、水鏡と一緒にハーデス様裏切り同盟でも組んでくれればいいと思うよ。
それにしても、相変わらずめくりの演出がいい、です。今回特にいい。 ページめくったら幻朧魔皇拳解除のアスプロス、更にめくったらもうデフテロスがいない。このあたり、本当にたまらないです。
おまけ。 とりあえず、幻朧魔皇拳は人が一人目の前で死んだら解除されるという条件をいちいち忘れてるアスプロスは、説明書を最後まで読まないタイプとして私に認定されました。 あと、何故かなんでかサガ風呂の双子思い出しました、今回。ゲームやったことないけど、確かどっちか絶対倒さなきゃいけない定めで、一緒にパーティに入れることは絶対出来なかったんだよね……?
さらにおまけ。 にゃんこのことお悔やみ申し上げます。 私の場合、飼い猫の紛が死んで落ち込んだ時、お気に入りの場所を見るたびに凹んだりしたなあ……。それにしても自分、右という名の猫に対して、左ではなく紛らわしいの「紛」という名をつけるあたり、アスプロス(白)に対してデフテロス(二番目)と名づけた人たちのことを言えんような気がする。
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