2002年07月09日(火) |
「ヘンリー・フール」 |
とってもよかった。 出演者を誰も知らなかったけど、よかったです。アメリカ映画だってことさえも。何を言えばいいのかなぁ。サイモン、よかったね。こういうことって、めったにないけどあるかもしれない。人の才能って何がきっかけで見つかるかわからない。それがおもしろい。いいことが書いてあるページがありましたので、載せさせていただきます。(7/16記)
********世界の映画・チネットより********
ハル・ハートリーといえば、90年代ニューヨーク・インディーズを代表する監督。しかしこの“ニューヨーク・インディーズ”というヤツそのものが、最近では実にしょぼいことになっている。ハートリー以降、有能な作家が全く育っていないからである。そのハートリーにしても、「トラスト・ミー」(90年)「シンプルメン」(92年)「愛・アマチュア」(94年)までは一応気を吐いていたが、この前の「FLIRT」(95年)などは、彼独特の演出スタイルに逆に足を掬われて、ただあざとく陳腐なだけの駄作に陥っていた。二階堂ミホと結婚してフヌケたかなあなどという、イイガカリのようなツッコミの声が挙がるのも当然のつまらなさであった。 しかし今作「ヘンリー・フール」で、ハートリーは見事に突き抜けた。それも意外なことに、オーソドックスなストーリーテラーとしての道に、である。ここでのハートリー演出は、それまでに見られた自意識過剰のスタイル意識が全くない。正攻法のまま、「才能」と「友情」(ハートリー流にいうと“トラスト”=「信頼」か)についての感動的な物語を語っていく。それでいて、ハートリーならではの妙な感覚は、ちゃんとスパイスとして効いているのだ。結果ここには、ポール・オースターや、ジョン・アーヴィングや、あるいはチャールズ・ブコウスキーらの現代アメリカ文学にも通じる、ユーモラスでヒューマンな味わいがにじみ出ている。ホント、素直に、とてもイイ映画なのである。 なお、これは東京だけの話になるけど、本作が上映されるシネ・ヴィヴァン六本木が、何と今年いっぱいで閉鎖になるらしいのだ。非常に悲しい知らせではあるが、この「ヘンリー・フール」、フィナーレを飾るにはふさわしい傑作なんで、その意味でもぜひ観ていただきたいものです。 森 直人
監督・脚本・ハル・ハートリー 撮影・マイク・スピラー 出演・トーマス・ジェイ・ライアン、ジェームス・アーバニアク、パーカー・ポージー 配給・ポニーキャニオン
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